ウクライナ東部の主要都市ドネツクで、政府の建物などを占拠した親ロシア派勢力は7日、「ドネツク人民共和国」の創設を宣言した。
5月11日までに共和国創設の是非を問う住民投票を実施するとしている。
ドネツクは政変で大統領職を解任されたヤヌコビッチ氏の本拠地。約120人の親ロシア派が地方議会を占拠し、共和国の創設を宣言した。また、ウクライナ政府が攻撃的な行動を起こした場合、ロシアに対し平和維持部隊を派遣するよう要請する姿勢を示した。
この他、東部のハリコフとルガンスクでも6日夜に親ロシア勢力が政府の建物などを占拠。ロシアへの編入を問う住民投票の実施を求めている。
アバコフ内相は7日、ハリコフでは「分離派」による政府の建物の占拠は解除されたことを明らかにした。ただ地元警察によると、ルガンスクでは親ロシア派勢力は武器を入手。 同市では9人の負傷者が出たと伝えられている。
こうしたなか、ウクライナ国防省は7日、クリミア東部でウクライナ海軍将校が6日夜、ロシア軍兵士に射殺されたことを明らかにした。
ウクライナのヤツェニュク首相はこの日の閣議で、「反ウクライナ計画が実行に移されている。こうした計画の下、外国の軍隊が国境を越えてウクライナの領土を占拠する。こうした事態は容認できない」と述べた。
トゥルチノフ大統領代行はテレビ放映された演説で、ロシアはクリミアで行なったことを再び行おうとしているとし、武力を行使した者には「反テロリスト対策」をもって対応すると述べた。
米国のケリー国務長官はこの日、ロシアのラブロフ外相と電話会談し、米国はウクライナ東部の情勢を大きな懸念を持って注視しているとし、仮にロシアが情勢を不安定化させる動きに出れば、ロシアが支払う代償は膨らむとの認識を示した。
米国務省のサキ報道官が会談内容を明らかにした。ケリー長官はロシアに対して「分離主義者や妨害工作者、工作員の活動を公に否定するよう求めた」という。
ウクライナとロシア、米国、欧州連合(EU)が危機打開に向けて、向こう10日以内に直接協議を行うことも、会談で話し合われた。
ケリー長官は、親ロシア派のデモ隊がウクライナ東部で省庁占拠など分離への動きを活発化させている状況を受け、「一連の事態が、自然に発生しているようにみえない」と指摘。
その上で、ロシアの支援を受けて、慎重に画策されたとするウクライナ側の見方や、ウクライナ国内で活動中のロシア情報員が最近、身柄拘束された件に言及した。
一方、ラブロフ外相はケリー長官に対し、危機の解決にはウクライナの憲法改定が必要と指摘。ロシアはウクライナのロシア系住民の権利が侵害されているとしており、ウクライナの憲法を改定することで、地方自治を拡大させることができるとしている。
[キエフ/ドネツク(ウクライナ) 7日 ロイター]
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