理化学研究所(理研)は4月1日、STAP細胞論文に「捏造・改ざん」があったとする最終調査結果について、小保方晴子さんのコメントを発表した。小保方さんは「承服できない」として、近日中に不服申し立てへを行う考えを示した。
以下、小保方さんの調査報告書に対するコメント全文を掲載する。
平成26年4月1日小 保 方 晴 子
「調査報告書に対するコメント」
調査委員会の調査報告書(3月31日付け)を受け取りました。驚きと憤りの気持ちでいっぱいです。特に,研究不正と認定された2点については,理化学研究所の規程で「研究不正」の対象外となる「悪意のない間違い」であるにもかかわらず,改ざん,ねつ造と決めつけられたことは,とても承服できません。近日中に,理化学研究所に不服申立をします。
このままでは,あたかもSTAP細胞の発見自体がねつ造であると誤解されかねず,到底容認できません。
(1-2) レーン3の挿入について
Figure1i から得られる結果は,元データをそのまま掲載した場合に得られる結果と何も変わりません。そもそも,改ざんをするメリットは何もなく,改ざんの意図を持って,Figure1i を作成する必要は全くありませんでした。見やすい写真を示したいという考えから Figure1i を掲載したにすぎません。
(1-5) 画像取り違えについて
私は,論文1に掲載した画像が,酸処理による実験で得られた真正な画像であると認識して掲載したもので,単純なミスであり,不正の目的も悪意もありませんでした。
真正な画像データが存在していることは中間報告書でも認められています。したがって,画像データをねつ造する必要はありません。 そもそも,この画像取り違えについては,外部から一切指摘のない時点で,私が自ら点検する中でミスを発見し,ネイチャーと調査委員会に報告したものです。
なお,上記2点を含め,論文中の不適切な記載と画像については,すでにすべて訂正を行い,平成26年3月9日,執筆者全員から,ネイチャーに対して訂正論文を提出しています。
以上(理化学研究所「小保方晴子研究ユニットリーダーコメント」より 2014/04/01)
小保方晴子さんらが発表したSTAP細胞論文に不正が認められたとして、理化学研究所(理研)は4月1日午後、記者会見を開き、所内に懲戒委員会を設置し、その検討を経た上で小保方さんらの処分について決定すると発表した。小保方さんと共同で論文を執筆した担当者についても、同様の対応となる。
理研は3月31日、論文の不正に関する調査委員会の調査結果書を小保方さんらに通達。不正を行ったとされる小保方さんについては、4月9日までに不服申し立ての機会を与え、所内規程に基づき処分手続きを進めるとしている。また、理研の野依良治理事長は記者会見で、幹部の処分の可能性についても言及した。
小保方さんをはじめ、調査の対象となった論文執筆者4名は4月1日、それぞれコメントを発表。STAP細胞について「存在の確信がなくなった」として他の著者に論文を撤回するよう呼び掛けた若山照彦さんは「データの正当性、正確性を見抜けなかったことに自責の念を覚えております」と謝罪している。
小保方さんの上司で、「割烹着」のアイデアを出したとされる笹井芳樹さんは「画像の取り違えやデータの処理上の不適切な過程について気付き、それを事前に正すことには限界がありました」としながらも「いかなる場合も実験の詳細に遡った検討の努力を行うべきであり、この点が不足していたとのご指摘は深く反省すべきものとして真摯に受け止めております」としている。
論文作成の途中から研究に参加した丹羽仁史さんは「心よりお詫び申し上げます」としたうえで、「STAP現象につきましては、今後、理研において予断なく検証実験を進めて参ります」としている。
理研の川合眞紀理事は、3月31日に調査報告書を手渡しした際の小保方さんの様子について「動揺していた」と話し、「本人はSTAP細胞の存在を信じて研究を行っていたとうかがえる」と述べた。また、小保方さんは「心身ともに疲れきっている」という。