プーチン大統領が日本のJCBカードを例に上げ、ロシア国内でも同様の決済システムを開発する考えを示した。ロシアではクリミア併合に伴う欧米からの経済制裁で、VISAやマスターなどのカードが利用できない状態になっている。JCBのような自国製のシステムを構築することで他国の影響を受けない状況を作り、制裁の影響を軽減させることが狙いだ。
ロシア大統領府の発表によるとプーチン大統領は3月28日、公邸でロシア上院議員らと会談。ワレンチナ・マトヴィエンコ上院議員から、ロシア国内で約2億枚のカードが発行されており、その95%が欧米の決済システムを利用していることなどが報告された。
マトヴィエンコ議員は、欧米の経済制裁の対象のひとりだ。マトヴィエンコ議員は、欧米への依存を減らすべきであり、ロシア製の決済システム確立を加速する必要があると主張した。
これを受けてプーチン大統領は、成功している例として日本と中国の決済システムを紹介。「これらは当初、国内向けのサービスとしてスタートしたが、人気を得ている。日本のシステムは国内だけでスタートしたが、今は約200カ国で利用できるようになっている。我々がこれと同様のことをやらない理由はあるか。やるべきである」と述べた。
JCBのホームページによると、同社は1961年、日本初の汎用型クレジットカードサービスを開始し、1981年に国際展開を決断した。他の日本のカード会社が海外の国際ブランドと提携を進めるなか、JCBは独自性を重視。アメリカ以外のクレジット会社として、日本で唯一の国際クレジットカードブランドを誕生させた。
会員数は1972年に100万人突破。1983年に500万人、1987年1,000万人と伸ばし、2013年9月末時点では約8200万人となっている。内訳は国内が約6600万人、海外が約1600万人。加盟店数は国内約800万に対し、海外は1600万に上る。
朝日新聞デジタルによると、ロシア国内では最近、JCBの成功が繰り返し報じられているという。
米国系のビザカードやマスターカードは先週、クリミア併合に対する米国の制裁対象となったロシアの銀行の決済を突然停止。ロシアで、独自の決済システムが必要だという危機意識が高まっていた。ロシア国営テレビもここ数日、JCBカードの成功例について繰り返し報じている。
(朝日新聞デジタル「プーチン氏がJCBカード称賛 ロシア、システム開発へ」より 2014/03/27 23:15)
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