静岡県で1966年に一家4人が殺害された「袴田事件」で死刑が確定した元プロボクサー袴田巌(いわお)死刑囚(78)の第2次再審請求審で、静岡地裁(村山浩昭裁判長)は3月27日、再審を開始するかどうかの決定を出す。開始決定が出れば、後に取り消された名張毒ぶどう酒事件の名古屋高裁決定(2005年)を含めて6件目となる。
袴田事件とは次のような事件だ。
1966年6月30日、旧清水市(現静岡市清水区)でみそ製造会社専務宅が全焼し、一家4人の遺体が見つかった事件。従業員で元プロボクサーの袴田巌死刑囚が強盗殺人などの疑いで県警に逮捕された。袴田死刑囚は一審から一貫して無実を主張したが80年、最高裁で死刑が確定。81年に再審が請求されたが最高裁は2008年3月に棄却した。現在第2次再審請求中。
(コトバンク「袴田事件 とは」)
袴田死刑囚は捜査段階で自供したとされたが、公判では一貫して無実を主張した。一審の静岡地裁は、白い半袖シャツの右肩のB型の血痕が右肩をけがしていた袴田死刑囚のものと認定し、死刑判決を出した。
第2次請求審では、シャツに付いていた血液のDNA型が「袴田死刑囚とは一致しない」との鑑定結果が出ており、地裁が「新証拠」と認めるかが最大の焦点となっている。
08年4月に静岡地裁へ申し立てられた第2次再審請求審では、事件から1年2カ月後にみそタンクの中から見つかり、犯行時の着衣とされた血染めの衣類5点のうち、白い半袖シャツの右肩についていた血痕のDNA型を再鑑定。検察、弁護側双方が推薦した鑑定人とも、付着していた血痕と袴田死刑囚のDNA型が「一致しない」という判定を出したが、検察側は鑑定資料の劣化などから「鑑定結果には信用性が認められない」と主張している。
(朝日新聞デジタル「袴田事件の再審開始可否、27日に決定 静岡地裁」より 2014/03/20 13:05)
見つかったズボンについても、弁護団と検察側とで見解が大きく異なっている。
弁護団は、見つかったズボンは小さすぎてはくことが出来ず、本人のものではないとしているほか、シャツに付着していた血痕については、DNA鑑定の結果「本人のものと一致しなかった」として無罪を主張しています。
これに対し検察は、ズボンは当時ははくことができ、DNA鑑定については衣類の保管状態が悪く信用できないとして、判決に誤りはないと主張しています。
(NHKニュース「袴田事件 再審判断27日決定」より 2014/03/20 13:35)
事件発生から48年近く、死刑確定からは33年が過ぎた。袴田死刑囚は外部から閉ざされた生活を続けている。再審の重い扉は開くのだろうか。
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