ロシアのプーチン大統領は3月17日、ウクライナから独立宣言した「クリミア共和国」を独立国として承認する大統領令に署名した。欧米諸国はロシアに対する制裁を強化しているが、さらに反発を強めるのは必至だ。時事ドットコムなどが伝えた。
プーチン大統領は18日午後(日本時間同日夜)、クレムリンで上下両院議員を前に演説する予定。クリミアの独立承認に加え、17日に要請されたロシア編入に関して態度を表明する見通し。
ロシアにとってクリミアは「独立国」となり、ウクライナ新政権を交えずに編入協議が行える。ただ併合には関連法案が必要で、ロシア下院で21日に審議が始まる予定だ。
(時事ドットコム「時事ドットコム:クリミアを「国家」承認=欧米と対決姿勢-ロシア大統領」より 2014/03/18 05:39)
クリミアは16日に行われた住民投票の結果、ロシアへの編入が圧倒的多数で承認され、自治共和国の議会がウクライナから独立し、ロシアに編入を求める決議を採択していた。
住民投票の正当性を主張してきたロシアは、早期に独立支持を表明し、クリミアの実効支配を盤石にする狙いがあるとみられる。
■欧米は対ロシア追加制裁決定
一連の動きを受けて、アメリカとヨーロッパ連合(EU)は3月17日、渡航禁止や資産凍結などロシアに対する追加制裁の発動を決めた。
オバマ米大統領は17日、制裁について、「ロシアが支払う代償を積み増すものだ」とする声明を発表。ウクライナの主権侵害はロシアを国際社会で孤立させるものだと批判した。さらに、ロシアがウクライナへの介入を続けるなら、「追加的な制裁措置を取る用意がある」と述べ、軍の撤収や国際監視団の受け入れなどに応じるよう訴えた。
米国の制裁対象は計11人。プーチン大統領の最側近であるスルコフ大統領補佐官らロシア政府要人7人のほか、クリミア自治共和国のアクショノフ首相らが含まれており、米国内の資産凍結や米国への渡航禁止措置を取るとしている。
EUの制裁はロシアやクリミアの当局者ら21人のEU域内への渡航禁止や、在欧資産を凍結する内容。すでに査証(ビザ)なし渡航の交渉中断などの措置を取っており、今回が第2段階となる。
(MSN産経ニュース「欧米、対ロシア追加制裁決定 クリミア住民投票実施で」より 2014/03/18 01:24)
■日本もロシア制裁を検討、ビザ発給制限
朝日新聞デジタルによると、日本政府が17日、ロシアへの制裁措置として、政府関係者へのビザ発給停止を検討していることがわかった。この日、首相官邸で開かれた国家安全保障会議(NSC)で関係閣僚らが意見交換した。発動すればウクライナ情勢をめぐる初の対ロ制裁になる。
これまで日本政府はロシアとの関係を重視し、制裁への対応を明確にしていなかった。首相周辺は「多少の温度差はあるにせよ、欧米が動いているのに日本だけ何もしないわけにはいかない」と説明する。
(朝日新聞デジタル「日本、対ロ制裁を検討 ウクライナ情勢巡りビザ発給制限」より 2014/03/18 01:58)
菅義偉官房長官は17日の会見で、クリミア半島で実施された住民投票でロシア編入支持の意思が示されたことに対し、「ウクライナ憲法に違反している。住民投票は法的効力を有さず、我が国はその結果を承認しない」と述べた。
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