投資銀行のボーナス額は「最低賃金労働者全体の年収」の2倍

フルタイムで働くアメリカ人のうち、2013年の所得が、アメリカ政府の定める最低賃金の水準だった人たち全員の収入を合計してみよう。次にその金額を2倍する。これでやっと、ウォール街の投資銀行家たちが得たボーナスの合計額の水準に達することになる。

フルタイムで働くアメリカ人のうち、2013年の所得が、アメリカ政府の定める最低賃金の水準だった人たち全員の収入を合計してみよう。次にその金額を2倍する。これでやっと、ウォール街の投資銀行家たちが得たボーナスの合計額の水準に達することになる。

ニューヨーク州の会計監査官が3月12日(現地時間)に公表した推計によると、ウォール街の投資銀行家が2013年に得た、現金によるボーナスの合計額は267億ドル(約2兆7142億円)だった。この金額は前年よりも15%増えている。

267億ドルという額は、ウォール街の投資銀行家16万5200人の合計額だ。1人当たりについて見ると、ボーナス額は平均で16万4530ドル(1670万円)になる。

いっぽう、賃金の公平性を求める動きを支援する米国の進歩的な民間シンクタンク「政策研究所」(IPS)が3月12日に発表した報告書では、ウォール街のボーナスに関する驚くべき数字が提示されている。ウォール街の巨額ボーナスは、最低賃金のフルタイム勤労者108万5000人全員分の2013年の年収額のおよそ2倍近くに達するというのだ。

これはもちろん悲しむべきことだ。しかし同時に、こうした状況は経済全体にも悪影響を及ぼす。ウォール街のボーナスが、もし最低賃金の労働者たちに回っていれば、経済全体に対する良い効果は現在の3倍以上になるだろう、と同研究所は推計している。

以下のグラフは、ウォール街のボーナスにおける267億ドルの乗数効果(左)と、最低賃金の労働者108万5000人における267億ドルの乗数効果(右)を表したものだ。

こうした効果が生じる理由は、最低水準の賃金で生活している人々は、収入から得たお金のすべてが必要になり、そのほとんどを生きて行くためだけに使い切ってしまうからだ。特に子どもがいる家庭の場合は、その傾向が強まる。

最低賃金の引き上げを推進している、IPSとは別の米国のシンクタンク「経済政策研究所」(EPI)は、3月12日付けで掲載した記事のなかで、親の最低賃金が引き上げられれば、米国における子供たち全体のうち、およそ20%が恩恵を受けると指摘している。

[Maxwell Strachan(English) 日本語版:丸山佳伸、合原弘子/ガリレオ]

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