日本では、1930年代初頭から中頃にかけて、国立公園や温泉など各地の観光名所を宣伝する、美しいポスターが制作された。日本国外に流通することは珍しかったこれらのビンテージ・ポスターには、古い寺の塔や満開の桜の光景が、鮮烈な色合いと、すっきりした幾何学的なデザインで表現されている。
当時の名古屋市や大阪市、あるいは仙台市の鉄道局が制作し、日本のアール・デコ調デザイン全盛期を伝えるこれらのポスターは、非常に稀少なため、博物館や美術館の展示品としても価値があるものだが、その存在は米国ではこれまでほとんど知られていなかった。
アンティーク収集家であり、ビンテージ・ポスターにも詳しいルディー・フランチ氏は次のように述べている。「これらは、ほとんど偶然に発見された。ポスターを相続した若い男性は、それらに価値はないと考えていたのだが、あるとき偶然、ビンテージ・ポスターについての解説を無料で提供している私のウェブサイトを訪れたのだ。私は、彼のポスターを調べ始めて間もなく、これらが大量の宝物であることに気づいた」
これらの前衛的なポスターは、長い年月を経て、稀少価値の高い芸術作品へと変化を遂げた。今回の出来事は、今は大事にされていない広告チラシなども、いつの日か、博物館の壁に展示されるほどの価値を持つようになる可能性があることを示している。
これらの観光ポスターは、「Heritage Auction」が米ダラス市で2014年3月22日、23日に開催予定の「Vintage Movie Poster Signature Auction」(ビンテージ映画ポスターおよびサインのオークション)に出品される。予想落札額は、500ドルから800ドルの間だ。
[(English) 日本語版:丸山佳伸/ガリレオ]
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