理化学研究所などのチームが発表した新しい万能細胞「STAP細胞」の論文に疑問点が指摘されている問題で、チームの若山照彦・山梨大教授が3月10日、理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の小保方晴子・研究ユニットリーダーら他の著者に論文を撤回するよう呼び掛けたことを明らかにした。47NEWSなどが報じた。
世界的な注目を集めたSTAP細胞研究は、重要な役割を果たした共著者が論文撤回を求める異例の事態となった。理研は「現時点で、論文の根幹は揺るがないと考えているが、引き続き調査する」としている。
(47NEWS「STAP細胞論文撤回を呼び掛け 共著者、不自然との指摘で」より 2014/03/10 21:09)
研究メンバーによる撤回への言及は初めて。
STAP細胞は2014年1月、小保方さんとハーバード大の研究者らのチームが英科学雑誌ネイチャーに発表した。しかし、そのあと、論文に不自然な画像やデータがあると研究者からの指摘が相次ぎ、理化学研究所などが調査を進めている。
若山さんは当初、指摘された問題の一部について「単純なミス」と説明。だが、新たな疑問点が次々と浮上し、小保方さんが2011年に書いた博士論文で使われた写真と酷似したものがネイチャーに使われていたと指摘された。これについて、若山さんは「分化したという証拠がない。研究の根幹が揺らいでいるのと同じだ」と話した。この写真は、STAP細胞が様々な細胞に変化できることを証明する実験で撮影されたはずだった。
このほか、STAP細胞の性質そのものに対する疑念も指摘されている。
(朝日新聞デジタル「STAP細胞「確信持てず」 共著の教授、撤回呼び掛け」より 2014/03/10 21:02)
若山さんは、山梨大学のホームページ上に「STAP細胞の論文の問題について」と題するコメントを掲載した。「疑問点が指摘されており、STAP細胞について科学的真実を知りたいと考えている」としている。
今年1月30日にNature誌に発表したSTAP細胞に関する論文について、現在、多くの問題が指摘されております。私が担当した部分(共著者より提供された細胞からのキメラマウスの作製、及び幹細胞の樹立)については、自信を持って適正に実験がなされたと言い切れますし、共著者の結果についても信頼してきました。
しかし本論文に関して様々な疑問点が指摘されている今日、私はSTAP細胞について科学的真実を知りたいと考えております。そこで私は、先に共著者より提供され、キメラマウスの作製実験に用いたSTAP幹細胞を所有していますので、この細胞を公的第三者研究機関に提供し、詳細な生化学的分析を依頼する事を決断しました。
分析結果は速やかに公表致します。
(「STAP細胞の論文の問題について|国立大学法人 山梨大学」より 2014/03/10)
一方、理化学研究所はNHKに対して次のように話している。
理化学研究所 発生・再生科学総合研究センターは、「若山教授からセンターの研究者に、『論文を取り下げてはどうか』という話が来ていることは聞いている。現状は、論文の著者どうしがやり取りをしているところで、センターとしては著者たちの判断を待っている状態だ。論文を取り下げるかどうか、今はコメントできない」と話しています。
(NHKニュース「STAP細胞『確信なくなった』」より 2014/03/10 21:04)
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