アメリカ航空宇宙局(NASA)は2月26日、ケプラー宇宙望遠鏡が2009年から2011年にかけて観測したデータをもとに、太陽系外に新たに715個の惑星を発見したことを発表した。その内の4つの惑星は、それぞれが公転している恒星から適度な距離にあり、生物が誕生可能な環境にあると予測されている。
■NASA史上初の「生命が生存可能な惑星を探すミッション」
ケプラー宇宙望遠鏡は2009年の5月に、NASA史上初の「地球以外に生命が生存可能な惑星を探すミッション」として発足した。
ケプラー宇宙望遠鏡はこれまでに15万個ほどの恒星を検証し、その内数千が複数の惑星を有している可能性があるとしてきた。今回の発表では、305個の恒星の周りを715個の惑星が公転していることが明らかになった。
今回の発見によって、これまでに発見された惑星の数はおよそ1700個となった。アメリカ・カリフォルニア州にあるNASAのエイムズ研究センターの惑星科学者ジャック・リッサウアーさんは2月26日に開かれた電話会見で、「今日この発見だけで、人類が知っている惑星の数を倍にした」と述べた。
さらに、新しく発見された715個の惑星のうち4つは、それぞれの恒星から適度な距離で、生命が誕生するのに適した温度が保たれる「ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)」にあるとしている。しかし、実際に生物が生息できる環境かどうかは、現在のところ不明だ。
■昨年の故障から一転 「与え続ける贈り物」
今回の発見をもたらしたケプラー宇宙望遠鏡は昨年5月に故障し、それ以来調査が中断されていた。
米航空宇宙局(NASA)は15日、宇宙望遠鏡「ケプラー」の方向制御に使われていた部品が機能しなくなったと発表した。
NASAによると、ケプラーは14日、方向制御に必要な「リアクションホイール」という部品の1つが回転しなくなり、太陽光パネルが太陽と反対の方向を向く「セーフモード」に陥っているのが見つかった。管制とも断続的にしか通信できなくなったという。
(CNN「ケプラー宇宙望遠鏡が故障、太陽系外惑星探査に暗雲」より 2013年5月16日)
2013年8月にNASAは、望遠鏡の復旧作業を断念することを発表し、現在は故障する以前に収集されたデータをもとに研究が続けられている。
MIT(マサチューセッツ工科大)の天文学者サラ・シーガーさんはNBCニュースの取材に対して、「これまでの観測データだけでもさらに100個以上の惑星、中には地球規模のものの発見にもつながるはずだ」と期待感を示し、「ケプラーは次から次へと与え続けてくれる、贈り物だ」と述べた。
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