億万長者の投資家であるジョージ・ソロス氏は、これまでイギリスのポンド危機(1992年)を仕掛けて巨額の利益を得たり、アメリカの共和党やイスラエル支持者を批判したりしてきたが、今度は米国の株式市場が大幅に下落するという賭けに出ているようだ。
「Bullion Baron」の2月15日付けの記事によれば、ソロス氏が率いる「Soros Fund Management」は、2013年末時点で、S&P500指数が下がる方に賭け、売りポジションを13億ドルに増やしていたことが、同ファンドが当局に提出した最新の文書で明らかになったという。
これはソロス氏にとって過去最大のポジションで、同ファンドが保有する全ポジションの11%を占めていた。
この文書に示されているソロス氏のポジションは、2013年第4四半期末時点のものだ。それ以降、ソロス氏はこの売りポジションを増やしたり減らしたりしているかもしれないし、このポジションを利用して他にヘッジしているかもしれないが、ソロス氏は絶対に教えてくれないだろう。
いずれにしろソロス氏は、2013年末に売りポジションを増やし、その額を13億ドルにした(第3四半期は4億7000万ドル)。さらに、つい最近の2014年1月には、主に中国からもたらされる世界経済のリスクについて警告している。
近頃のソロス氏は、保守派のポピュリスト運動「ティーパーティー運動」を支援する富豪のコーク兄弟のリベラル版のような存在、つまり、リベラル系の候補者や運動に数百万ドルもの金額を寄付する裕福な人物として、良くも悪くも有名になっているようだ。
だがソロス氏は、数十年にわたって非常に抜け目ない投資を行ってきた人物でもある。最も有名なものは、1992年に英ポンド安に賭ける取り引きを成功させ、10億ドル超の利益を上げた一件だ(ポンドを売り浴びせ、安くなったところで買い戻すという取引を実行した)。この出来事は、イギリスでは「暗黒の水曜日」としてよく知られている。
ソロス氏の政治思想が気に入らないとか、ヘッジファンドの将来予測は絶対に当てにならないといった理由で、ソロス氏を無視しようと考える人もいるだろう。だが、LCH Investment Groupが発表した2013年のランキングでは、ソロス氏のファンドは世界最高のパフォーマンスを上げたファンドだった。それは心に留めておいた方がいい。
S&P市場は、1月から2月初めにかけて5%ほど値を下げたものの、すぐに回復し、2009年3月以降に起こったほぼ途切れのない上昇基調を上回る勢いを見せている。だが、ここで最も恐ろしいのは、一般投資家が少しずつ市場に戻ってきていることだ。いつもこれが不吉な兆候なのだから。
[Mark Gongloff(English) 日本語版:佐藤卓/ガリレオ]
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