派遣労働者に任せる業種、すべて無期限に 制限撤廃向け労働派遣法改正へ

正社員に代わって、派遣社員が行う仕事が増えることになりそうだ。労働派遣法改正案の骨子となる最終報告案が提出された。現在は特定の業務にのみ期間の上限を設定せずに派遣社員に任せていた仕事を、すべての業務で開放。3年ごとに人さえ変えれば、どんな仕事でも、継続的に派遣社員に任せることができるようになる。

正社員に代わって、派遣社員が行う仕事が増えることになりそうだ。

厚生労働省の労働政策審議会の部会は1月29日、2015年4月からの適用を目指す「労働派遣法改正案」の骨子となる最終報告案をまとめた。同省は、この最終報告案に沿った法改正案を、現在開会中の通常国会に提出する。

報告案では、派遣労働者に任せることができる仕事の範囲や期限を広げるとした。現在ソフトウェア開発やWebデザインなどの特定の業務のみに限定して派遣労働者に任せていた仕事を、すべての業務に開放。3年ごとに人さえ替えれば、どんな仕事でも継続的に派遣労働者に任せることができるようになる。朝日新聞デジタルなどが報じた。

これまでは、秘書や通訳といった「専門26業務」は期間の制限なく派遣に任せることができたが、それ以外の業務では派遣を活用できる期間は「3年」が上限だった。この規制を緩和し、すべての仕事で、3年ごとに派遣労働者を代えれば、自社の労働組合の意見を聞くことを条件に、派遣に仕事を任せ続けられるようになる。ただ、人材派遣会社には、同じ職場で3年働いた人の次の働き口を探すことを義務づける。人材派遣業者はすべて国の許可がないと営業できないようにし、悪質な業者は排除するよう制度を改める。

(朝日新聞デジタル「派遣、全業務で無期限に 法改正案、働き手交代を条件に」より 2014/01/29 12:11)

■なぜ専門的な職業以外も、無期限で派遣に任せるようになるのか

現行では、ソフトウェア開発者やウェブデザイナー、秘書などの26業種を除き、1つの業務を派遣労働者に任せられる期間は原則1年、最長3年と決められている。というのも、「派遣」はあくまでも臨時的・一時的な仕事を担う例外的な働き方と位置付けられており、正社員からの置換えが進むことを懸念したからであった。

しかし、使用者側からは、これまでの位置づけそのものが、派遣という働き方を選択している労働者に対して配慮を欠いているという意見が出ており、すべての業務において、期間の上限を撤廃すべきとの主張があった。

今回の報告案ではこの位置づけは踏襲するとしながらも、すべての業種にいて期間の上限はなくした形となった。26業種の縛りが「わかりにくい」というのが、その理由である。どの業種であっても、労働組合がよしとすれば、派遣労働者に仕事を任せ続けることができることになる。

■「3年で使い捨ての不安はないのか」同一労働者が同じ職場で3年を超えて働けない理由

報告案では「仕事ごと」の期間の上限を無くす代わりに、「労働者ごと」に期間の上限を設けることになっている。現行では、26業種に限っては、期限を定めずに同じ職場で働くことができているものを、同一の労働者が、同一の職場で働くことが出来る期間の上限を、どの業務も3年と決めた。

3年を超えた場合に他の職場に移らなくてはいけないとした理由について報告案は、「就業先を替わることによる派遣労働者のキャリアアップの契機を確保する」としている。

しかし、次の仕事先が見つからない場合は、そこで仕事が途絶えてしまうということになりかねない。そのため、3年の上限に達した場合に派遣元企業は、(1)派遣先企業に対して労働者の直接雇用を依頼することのほか、(2)新たな派遣先の適用、(3)派遣元企業においての無期雇用などの装置を講じなければならないとされた。

さらに、派遣元企業は、労働派遣事業の許可・更新を受ける際に、「キャリアアップ支援制度」を設けることが求められる。

■派遣期間の上限見直しについてハフポストユーザーはどのように考えているのか

派遣労働者の派遣期間の上限見直しについて、ハフポスト日本版でも記事を掲載したところ、賛成、反対とする様々な意見が投稿されている。

非正社員化が進むとの指摘があるようだが、なぜその業務を正社員が担ってきたのかということを考えなければならない。

3年ごとに人が入れ替わっても構わない業務ならば派遣社員で十分と言うことになるのは当然であり、3年以上同じ人が担当しないと成立しない業務ならば正社員をあてがうということになるだろう。

そうした流れが進んでいけば、働くとは会社に通うことではなく業務を遂行することだという認識が広まることを期待したい。

Morotomo Shinabaさん

建設作業員は既に不足しています。学歴・職歴を問われることはありません。心身が健康であれば明日からでも働けます。勿論、働きながら、資格を取得すれば昇給しますし、職人やオペレーターに転向し、厳しい鍛錬をつめば、高年齢化が進む建設業界では、正社員への登用されます。正社員に拘るなら、別の業種・業界に目を向けてはいかがでしょうか。嫌な言い方になりますが、凡人には職業選択の自由はありません。これが社会の現実です。

Ichitaro Yamadaさん

正社員よりも優秀な派遣社員がたくさんいるし、細かなことやアシスタント的な仕事でもその人がいなくなると困る場合もある。また、3年で派遣の方にもキャリアアップを…なんてことも言っているが、普通は3年というのは仕事を覚え、さあこれから、という期間だろう。優秀な人なら正社員にしろということかもしれないが、正社員を雇うのがいやだから派遣にしているのでは?時代が変わり職種の専門性が薄れているというのも、全くの正反対。官僚は一度派遣で企業に就職してみるがいい。

masatoさん

「派遣法改正」絶対反対だ。格差社会の拡大あるいは固定化に繋がる。

労働市場は「公務員」「正社員」「派遣社員」で構成されている。

政府がやるべきことは「公務員制度改革」であり、企業がやるべきことは「正社員制度の改革」である。この2つ改革を実施することにより、雇用、再雇用が一般的になれば雇用の流動性は増し、究極的には「派遣社員」は極一部の特殊な職業が残るだけになる。

Toshio Sandoさん

専門職、しかも長期であれば正式に雇用すべきでしょう

3年は長すぎで、1年の制限にすべきです

そもそも、当初、マスコミは「派遣労働は禁止すべき」とまで言ってましたよね

なのに、自分のところで雇っている派遣労働者が、有期だと正規雇用しなければならないとなったとたんにいきなり、期限を切るのは間違ってるとか騒ぎでしてるし

mutoさん

■インターネットの意見は

また、インターネットでも様々な意見が出ている。

【※】派遣労働期間の制度変更について、あなたはどのように考えますか。ご意見をお寄せください。

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