安倍晋三首相は1月28日に開かれた衆議院本会議において、原発をそう簡単にはやめるというわけにはいかないと述べ、原発再稼働に前向きな考えを示した。民主党の海江田万里代表からの代表質問に答えた。
安倍首相はエネルギー政策について、徹底した省エネルギー社会の実現と再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、原発依存度は可能な限り低減するというのが基本方針であると述べた。また、この方針は自民党の政権公約や、自民・公明の連立政権合意を踏まえたものであると話した。
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安倍首相はさらに現在の状況について、「海外への化石燃料への依存度が、第1次石油ショック当時よりも高くなっているという現実を考えると、そう簡単に、原発はもうやめる、もうやめたというわけにはいきません」と答弁。原発再稼働に前向きな姿勢を示した。
安倍首相は脱原発の動きが各地であることについて「原発に依存しない社会の実現を望む声がある一方で、原発がない場合のエネルギー供給への不安や、地域経済への影響の懸念などの議論があると認識している」と発言。国民生活と経済活動を支える、責任あるエネルギー政策を構築するとした。
脱原発については、2月9日に投開票が予定されている東京都知事選で、小泉元首相が「原発ゼロ」を掲げる候補者を応援したり、政府が閣議決定を目指す「エネルギー基本計画」に対し、脱原発を目指す自民党議連が「2012年の衆院選公約に反する」と指摘するなど、自民党内においても意見のズレが生じている状況だ。答弁の際に連立政権合意などを引き合いに出した安倍首相の狙いは、党内の脱原発勢力への牽制ともみられる。
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