一般のモデルはガリガリに痩せたイメージがあるが、最近は「プラスサイズ」のモデルに対する需要も増えてきている。
こうしたモデルたちが起用される理由は、女性たちが憧れる体型の範囲を広げ、「成長市場」に向けて、プラスサイズの衣服を売り込むことだ(アメリカ人のうち、肥満と認定される人は35.7%にものぼるのだ)。
こうしたなかで、「Plus-Size-Modeling.com」は2013年12月、「プラスサイズのバービー」人形の写真を「Facebook」に投稿した。
「玩具メーカーは、プラスサイズのバービーをつくり始めるべきだろうか?いいね!か、コメントで答えてほしい」
実はこの画像は、アーティストたちが日常的に創造力を競い合うサイト「Worth1000.com」のイラスト・コンテストから取られたものだ。アーティストのバカリアが制作したこの画像は、「Feeding Time 9」というタイトルで2011年に行われたコンテストで優勝した。
しかし、Plus-Size-Modeling.comが2013年12月にこの画像を投稿したことで、その二重アゴと、太すぎる手足について、論争に火が点いた。17万人を超える人々が「いいね!」を押した一方で、6000人以上がコメントを寄せ、この人形の「極端なサイズ」を批判している。
「生まれつき太っている人などいない。この画像は、こうした外観で不健康であってもよいのだというメッセージを少女たちに送ってしまう」というコメントや、「これはひどい、というのが私の考えだ。少しくらいふっくらさせるのはいいが、肥満を奨励するなんてとんでもない。三重顎なんて信じられない。私も太ってはいるが、これは本当に馬鹿げている」という意見もある。
同様の論争は、ファッション界でも続いている。ランジェリーを扱うCurvy Girl社は2013年11月、「普通の」女性のランジェリー姿の画像を共有するキャンペーンを開始したのだが、肥満体の人たちも含まれていたことから、「不健康な習慣を勧め、肥満を奨励する」として非難の声があがった。
一方で、「平均的な」サイズの身体など、そもそもどこにあるのか? という疑問の声も上がっている。つまり、「プラスサイズ」でもないし、やせぎすの「サイズゼロ」でもない、「平均的な」身体を追求するのは非現実的だというのだ。(サイズゼロとは、アメリカの洋服サイズの「0で」、日本のサイズでいうと「3」にあたり、バスト約80cm、ウエスト約59cm、ヒップ約82cmくらいとされる。2008年には、事務所から減量を命じられた英国人モデルが「Say No to Size Zero(サイズ・ゼロにノーと言おう)」運動をおこし、多くの賛同を得た)。
もっとも、実際に「平均的な体型」を提示した人もいる。「MyDeals.com」等で作品を発表しているアーティスト、ニコライ・ラムは2013年7月、「平均的な体型」のバービー人形を発表した(日本語版記事)のだ。それは、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)による、平均的な19歳の女性の身体の計測データに基づくバービーであり、販売されているバービーとはかなり異なる体型だった。
「やせすぎのモデルを批判するのなら、少なくとも、バービーも少女たちに悪影響を与える可能性があることを考えるべきだ」とラム氏はハフィントン・ポスト宛の電子メールで述べている。
その指摘はもっともだ。バービーのサイズを厳密にどれにするべきか(あるいは複数のサイズを設定するべきなのか)は、これからも議論の対象になっていくだろう。
[Ellie Krupnick(English) 日本語版:平井眞弓、合原弘子/ガリレオ]
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