北朝鮮で1年以上拘束されている韓国系アメリカ人男性のペ・ジュンホ氏(ケネス・ぺ)について、アメリカ政府がキング北朝鮮問題担当特使の訪朝を打診したことが分かった。47NEWSが伝えている。
ペ・ジュンホ氏は1月20日、平壌駐在の外国メディアに向けた記者会見を開き、早期帰国を訴えた。アメリカ側は、北朝鮮がぺ氏を取引材料に、米朝関係の改善を求めるシグナルを送っていると分析している。
ぺ氏は2012年11月に北朝鮮に観光目的で入国後、拘束された。北朝鮮は、ぺ氏が北朝鮮の体制転覆を狙い策動したと主張している。2013年4月に労働教化刑15年を宣告され服役していたが、体調を崩し入院したという。
Kyodo News Koreanによると、ぺ氏は自身の罪を認め「一日も早く家族の元に帰りたい」と訴えたという。
ぺ・ジュンホ氏が2012年11月に北朝鮮で拘束されて以来、公式の場に姿を見せたのは今回が始めてだ。ぺ氏と北朝鮮側は、本人の意向による記者会見と言ったが、米朝関係消息筋は「アメリカと対話を再開したい北朝鮮指導部の意向を反映したものだ」と指摘した。
(中略)
ぺ氏は自身の罪を認め「改めて謝罪したい」と表明した。拘束されてから北朝鮮による「どのような人権侵害行為もなかった」と話した。
(Kyodo News Korean「北朝鮮抑留のペ・ジュンホ氏、平壌で記者会見…「帰りたい」」より 2014/01/20 21:52)
朝日新聞デジタルによると、過去にもアメリカ人が不法行為を働いたとして拘束され、政治交渉の末に特例的に釈放された例がある。
北朝鮮は2009年、中朝国境付近で取材中、不法入国罪で拘束した米国人女性記者2人に対して労働教化刑12年を宣告。10年にも同国境付近で不法入国罪で拘束した米国人に、労働教化刑8年を言い渡した。米国からは09年はクリントン元大統領、10年にはカーター元大統領が訪朝。いずれも故・金正日(キムジョンイル)総書記が特赦を命じて解放された。
(朝日新聞デジタル「抑留の米男性に15年の労働教化刑 北朝鮮最高裁」より 2013/05/02 11:39)
ぺ氏を巡っては、北朝鮮を訪問したアメリカのプロバスケットボールリーグ(NBA)の元スター選手、デニス・ロッドマン氏が、CNNとのインタビューで「悪いことをしたんだろ」と激高する場面が放映された。
キャスター:あなたはあの男性(金正恩第1書記)と特別な関係がある。もし機会があれば、ぺ氏の家族のために伝えてもらえないか。彼らは「なぜ捕まったのか教えて欲しい」と言っているんだよ。
ロッドマン:待て待て、一つ謝らなきゃならないことがある。ぺ氏は悪いことをしたんだ。彼が何をしたのか理解できるか
キャスター:教えてくれ。彼が何をしたんだ。
ロッドマン:違う!違う!あんたが言ったんだ…
(YouTube「Dennis Rodman gets fiery with CNN」より 2014/01/17)
朝日新聞デジタルによると、ぺ氏の妹がこの発言を聞いて憤慨し、国内で批判が高まったという。
この発言を受けて、ペ氏の妹は「ショックで憤慨している。(ペ氏の)問題を何も知らずに無礼な批判を浴びせた」と非難。米政界などからも批判の声が相次いだ。
(朝日新聞デジタル「贈り物、暴言…北朝鮮訪問のロッドマン氏、高まる批判」より 2014/01/11 18:21)
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