2月9日投開票の東京都知事選に立候補を予定している元厚労相の舛添要一氏(65)が1月22日、東京の日本記者クラブで記者会見を開いた。発言内容は以下の通り。
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【冒頭発言】
2020年に東京五輪・パラリンピックが開かれることを喜んでいる。全力を挙げて準備をし、東京がすばらしい都市だと世界に情報発信をしたい。史上最高の五輪をめざしたい。ただし、直下型地震が相当の確率で近いうちに来ると言われている。きめ細かい防災をやって、災害に打ち勝つことのできる東京、世界で一番安心安全なまち東京、これをめざして危機管理体制をしっかりとやりたい。私が政治家になった原点は、母親の介護。みんなにそんな苦労をさせたくないなと思った。第一次安倍政権で厚労相をやり、一生懸命取り組んだ。年金、介護、医療、雇用と様々な問題がでてきた。育児、出産、子育てもそう。その経験を生かし、東京から社会保障の改革をやって、日本の他の地域も「東京モデルいいんじゃないか」ということになれば、と思っている。治安対策もしっかりやりたい。
エネルギー問題は、長期的には原発依存体制は無くしていかなければならないが、すぐにゼロにするには代替案の問題がある。最大の問題は、短期的には安全を確保すること。東京は最大の電力消費地である。東京が使うエネルギーのなかで、再生可能エネルギーは6%だけ。これを頑張って20%まで上げたい。その分、原発依存が減らせる。東京には素晴らしい企業が集まっている。国家戦略特区を、東京で実験してみたいと思う。東京から日本を明るく、経済を明るくしていきたい。教育改革もやらないといけない。世界一の都市、東京をめざして頑張りたい。これが政策だ。
【代表質問】
Q 五輪、地震対策、医療・介護は、みなが公約に掲げる。「なぜ舛添」でなければならないのか
A 社会保障は、厚労相時代に仕事をしてきた。年金記録問題や、産婦人科や救急医不足の問題があった。新型インフルエンザでは、不眠不休で対策にあたった。雇用の問題や、毒入りギョーザ、原爆訴訟にも全力で取り組んだ。地方の立場では違う。生活保護費はどうするか、国も地方もどちらも払いたくない。その協議を知事とやってきた。向こうの立場をやってきたから、他の人よりはるかに上手な立場でやれる。
五輪について、陸上競技短距離のインターハイ選手だった。欧州に行って柔道をやり、講道館の二段だ。馬術も少しやる。スポーツが好きだ。厚労相の時にはパラリンピックに一生懸命取り組んだ。報奨金はパラリンピックの方が低かったが、上げる努力をした。
Q 原発政策は、今回の争点になるのか。その是非は。当面は安全性が大事、というなら、3・11(東日本大震災)を受けて考えは変わったのか
A 開かれた民主主義のなか、みんなが自由に議論するのは結構だ。しかし原発だけが東京の問題ではない。防災、社会保障、景気問題もやるべきだ。ただ、エネルギー、原発問題は知らない、という立場はいけない。東京は最大の電力消費地なので、責任を持たないといけない。原子力エネルギーのいいところはCO2を出さないところ。しかし、あれだけの被害が起きたので、依存の比率を下げていかないといけない。シェールガス革命が起きている。技術革新を取り入れながら少しずつやっていく。
Q 史上最高の五輪、史上最高の五輪とはなにか。新国立競技場の規模を縮小すべきだとの意見もあるが
A テロは絶対にあってはいけない。また、日本語がまったく使えない外国人にもバリアフリーをしないといけない。心配しているのは、40度近い、湿度の高い真夏の東京。空気をよくして、暑い状況をよくしないといけない。交通渋滞、交通網もよくしないといけない。競技場については、ただ小さくすればいいのではない。みんなの意見を聞きながらやっていく。五輪の後、8万人を収容するイベントが継続してできるのかどうか、国家の財政負担にならないのか。ともかく、日本に来た人が、「おもてなし」を受けて、「こんな五輪は見たことはない」と言ってもらいたい。
Q 直下型地震への具体的な防災対策は
A 毎年9月1日の関東大震災の記念日だけ防災訓練をやるのではだめ。スイスに生活していたことがあるが、スイスや韓国では、高速道路が滑走路として使える。中央分離帯が外せるのだ。3000メートル以上の直線道路を作っている。東京でも環7、環8のどこかをヘリポートにできないのか。各自、自宅に備蓄はあるのか、2階に住んでいる人は、どうやって降りられるのか。行政がやるだけではない。みんなが協力する。町内会もある。企業も備蓄をする。知事だけができる話ではない。専門家や国とも協力していく。
Q 国政への評価は。靖国神社参拝、特定秘密保護法、集団的自衛権行使のための憲法改革、そしてアベノミクスをどう評価しているのか
A 国会議員になって以来、日銀の政策がおかしいと予算委員会で言ってきた。量的な緩和をしないとだめだと言ってきたが、安倍政権はやってきた。ただし、問題があるのは、消費税が上がる一方、働いている人の給料が上がらないこと。企業は内部留保をやり、配当優先をやっている。しかし、きちんとした収入がなければ社会が不安定になる。いま、日本で働いている人の3分の1が非正規だ。尋常ではない。この点、連合のみなさんと政策が一致している。
自民党では、第一次憲法草案をとりまとめた。国際情勢が変わったのだから、ある程度は変えないといけない。秘密法は、審議の時間が足りなかったのではないか。内容に不備がある。靖国問題では、中国、韓国との関係が緊張している。胸襟を開いて首脳会談ができる条件を整えるべきだ。
Q 過去、自民党を離党した際、「自民は歴史的使命を終えた」と述べた。今回、自民都連から支援を受ける。自民は変わったのか。整合性は
A 政権交代があった。主権者は国民だ。私は安倍、福田、麻生の各内閣で厚労相として全力を尽くした。しかし選挙の審判が国民の意志。自民の大敗北は、国民の票でなされた。これは反省しないといけない。そういう意味で、「歴史的な使命を終えた」と言ったことは間違っていない。民主党が大敗北して、立ち直る道が見えていない。これにも、民主党の歴史的使命は終わったと言う。きちんと反省をする。昨年夏、参院の任期が終わった際に私はバッジを外した。自民は今度政権に戻ったが、また問題点を起こすなら、主権者の国民が判断してイエス、ノーを決める。
「何で自民党を辞めたのか」と言われた。その後、新党の党首として七つの野党をとりまとめるため、相当努力をした。だが、離党したのはけしからんという声しか聞こえてこない。選挙なので、いかなる団体、政党でも一人でも、多くの方の支持をいただかないと勝てない。いろんな団体の方とも政策協議をやる。都民の市民を一番集める候補になって、都政のかじ取りをやりたい。
【会場からの質問】
Q 原発について、安全性が大事だと言うが、安全性が認められたなら再稼働は認めるのか
A 原発は霞が関ではコントロールできない。原子力規制委員会で意見を言ってもらい、そこから先は日本国政府が決めることだ。消費地の行政の長として要望は言う。我々ができるのはそういうこと。国がエネルギー政策としてやること。最終決定は政府。都民がやれるのは、消費者として、例えば屋根に太陽光(発電)をつけることだ。
Q 原発を争点とする是非について。自身のブログで、「脱原発、卒原発、原発ゼロと呪文を唱えても建設的な答えは出てこないであろう。原発という争点にポピュリズムがちらついて暗い気持ちになってしまう」としている。先ほどの発言とズレはないか
A ポピュリズムはやめた方がいいと思っているが矛盾はない。争点にするなとは言っていない。
Q いま、ポピュリズムに向けて進んでいると感じるのか
A 違う。あなたの言い分に納得できない。どの候補がどうだとは、まったく言っていない。今回の選挙は関係ない。「新党改革」の公約でも、原発やめましょうと言っている。今回の候補者のことについてなにも言っていない。
Q カジノについて。東京にカジノを推進しようという意見がある。見解は
A 最終的な判断してない。カジノが経済的効果を上げる面もある。だが、賭け事だ。お金を全部を使って、家族が困ったという例も聞いている。簡単ではない。世界のカジノがどうなのか研究する。すべてを聞いてから決めたい。知事になったら慎重に検討したい。
Q きょう、あえて「脱原発」という言葉を使わないのか
A いや、「原発依存をなくす」ということを「脱原発」と言い換えても構わない。
Q 東京から社会保障を変えていくとは、具体的にどういう想定をしているのか
A 子育て問題、保育所問題など、厚労相として頑張ったが追いつかなかった。子どもをとにかく預かってほしいという声が多い。国がやらなくても、都が援助することができる。認証保育所を支援することは一例だ。
Q 防災、福祉、介護・医療には、金がかかる。五輪もそうだ。財政支出をどう賄うのか
A みんなで努力しませんか、ということ。お上の金の元は税金。納税者として、政府が無駄に使っていたら次の選挙で落とす、というのが主権者だ。日本は何でもかんでも政府に頼る。お金がかかるのではなく、納税者として努力してこの町を守る、ということを率先したい。お金が天から降ってくるわけではない。地方自治は民主主義の学校だ。
Q 今後、政策集、公約集を出す予定は。なぜ遅れているのか
A 単純に時間不足だ。私は一言一句、自分で精査する。時間がかかっている。できるだけ早くやりたい。
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