政府は20日の産業競争力会議(議長:安倍晋三首相)で、新たな成長戦略の基本方針となる「成長戦略進化のための今後の検討方針」案について議論した。
新成長戦略では、生産労働人口の減少を補うため、外国人技能実習制度の見直しなど、外国人労働者の受け入れ環境を整備する。法人税については、課税ベースの拡大など財源確保の検討を進める中で実効税率のあり方を検討。医療・介護分野では、複数の法人の一体的経営を可能とする「非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)」を創設する。
今回の成長戦略は昨年6月に政府がまとめた「日本再興戦略」をさらに進化させるための新しい取り組みを盛り込んだもの。この日の会議で基本方針を決定した上でさらに検討を進め、今年6月に改定する予定の安倍政権の成長戦略に反映させる。
新成長戦略では、潜在成長力の底上げを図り、持続的成長軌道に乗せるため、1)働く人と企業にとって世界トップレベルの活動しやすい環境を実現、2)モノづくりに加え、これまで成長産業とみなされてこなかった分野を新たな日本の成長エンジンにする、3)成長の果実を地域・中小企業に波及させ、持続可能性ある新たな地域構造を作り上げる、の3つの視点から取り組みを進める。
具体的には、女性の活躍推進のための社会基盤整備、高齢者の活躍推進などの施策も検討。外国人労働者受け入れでは技能実習制度を適正化し、一定の要件での再技能実習を認めるほか、介護などの分野を追加するなど、制度の見直しについて年央までに方向性を出す。
企業活動の活性化を図るために、課税ベースの拡大や他税目での増収策による財源確保の検討を行い、法人実効税率のあり方について検討する。
このほか、農林水産業の成長産業化へ向け、新技術活用や企業をはじめとする異業種連携などで農業改革を進めるとしている。
さらに訪日外国人旅行者の拡大では、東京オリンピックの2020年に向けて、訪日外国人旅行者2000万人をめざし、環境政策を強化する。地方版成長戦略を推進し、中小企業・小規模事業者政策を検討する。
[東京 20日 ロイター]
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