大学入試センター試験が1月18日から全国693会場で行われ、いよいよ本格的な受験シーズンが幕を開けた。
少子化のため、大学受験の主な年代である18歳の人口も年々減少傾向にあり、今年のセンター試験の志願者数は、昨年より1万2672人少ない、56万672人で、今春高校を卒業する生徒の42.1%が志願しているという。
「最後のゆとり世代」と言われている2014年の受験生には、浪人できない理由がある。2015年からは入試内容も様変わりするからだ。
「脱ゆとり教育」を目指し、現在の高校2年生が中学生だった時に、数学と理科の新しい指導要領が先行実施された。一方2014年の受験生にあたる現在の高校3年生は旧課程で学んで来たため、2015年は経過措置として、新旧過程のいずれかを選ぶことができるが、1年浪人してしまうと「脱ゆとり教育」を受けた1つ下の学年と一緒に受験しなければならなくなる。
実際の受験生はどう受け止めているのか、日刊スポーツが以下のように報じている。
数学、理科とも来年のセンター試験では経過措置として新旧課程のいずれかの問題を選ぶことができる。別の高3男子生徒(17)は「(仮に来年受けることになったとしても)配慮があるので大丈夫だと思う」と安心した様子。「入試突破」と書かれたはちまきを締めて教室に向かった江東区の高3女子生徒(18)は「ゆとりであろうがなかろうが、頑張るだけ」と拳を突き上げた。
(日刊スポーツ「「最後のゆとり世代」が受験」より 2014/01/18 10:37)
2002年度に小中学校で、2003年度に高校で始まった「ゆとり教育」だったが、その後、政府が方針転換し、2009年から数学と理科で授業時間数が約15%増となる新たな学習指導要領(新課程)が前倒しで実施されることになった。2015年から入学試験はどのように変わるのか。AERAが下記のように解説している。
数学は多くの受験生が現在と同じ2科目を受けることになるが、教科書のページ数が2割以上増えたことを反映して出題分野は当然増える。例えば「数学1・数学A」には「データの分析」や「整数の性質」が加わり、選択問題が出題される可能性もある。
(中略)
さらに劇的に変わるのが理科だ。科目名が現行の「物理1」などから「物理」「物理基礎」などに変わる上、従来の6科目から8科目に増える。しかも、現在東京大学や京都大学など多くの国立文系志願者が「化学1」など1科目(60分)の受験を義務づけられているのに対し、新課程では、「化学基礎」「生物基礎」(各30分)など基礎2科目が必須となる大学が多く、受験生の負担が増える。
(dot.「今年の高校3年生が「浪人できない」理由 ゆとり最終世代の緊張感 〈AERA〉」より 2014/01/14 13:08)
また、2014年の受験生の傾向として手堅さが目立つという。学部では、就職に有利な「理系」を選択する受験生が多く、地方の受験生は首都圏の全国区の大学よりも地元の大学を目指すという。
大手予備校の河合塾が昨秋行った約29万人規模の全国模試では、国公私立の「法・政治」系学部の志望者数が前年度より7~8%減った。「経済・経営・商」系学部も2~6%減。これに対し、医学部や歯学部は志望者数が前年度を上回った。現在の高3生にあたる18歳人口が前年より4%ほど減ることを考えても、文系学部の不人気ぶりがうかがえる。
また、東京大や早稲田大といった「首都圏の全国区大学」では、地方からの志望者が減少。とりわけ、模擬試験の合否判定で「あと一息」とされる成績層の減少が目立ち、地元志向や安全志向が表れている。
(朝日新聞デジタル「景気回復でも安全志向 理系・地元人気 センター試験」より 2014/01/18 13:03)
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