中国、南シナ海で外国漁船の取締りを強化 日本の排他的経済水域でも海警局が漁船立ち入り

中国海南省は同省が管轄する海域で操業を行う外国漁船に対し、事前に中国政府の許可を得ることを義務付ける条例を施行した。違反すると、海域からの強制退去を命じられたり、船を差し押さえられたりするという。

南シナ海で漁業を行いたいなら、事前に中国政府に申請し、承認を得よ――。

中国海南省は1月1日、同省が管轄する海域で操業を行う外国漁船に対し、事前に中国政府の許可を得ることを義務付ける条例を施行した。違反すると、海域からの強制退去を命じられたり、船を差し押さえられたりするという。1月9日のアメリカ国務省・報道官会見で明らかになった。ロイターなどが報じている。

米国務省のサキ報道官は記者会見で、「南シナ海の問題となっている海域における他国の漁業活動に関する規制を承認するのは、挑発的で潜在的に危険な行動」と発言。

 

「中国はこの規制について国際法に基づく根拠も説明も一切していない」と指摘し、「われわれは、関係するすべての当事者が緊張をもたらし、対立の外交的、その他平和的解決の期待をそこなうような一方的な行動を避けるべき、という立場をとり続けている」と述べた。

 

(ロイター『中国の南シナ海漁業規制、米が「挑発的で潜在的に危険」と批判』より 2014/01/10 08:15)

サキ報道官は規制が適用される範囲について、中国が独自に領有権を主張している「九段線」と呼ばれる地域であろうと発言。だだし「九段線」についてサキ報道官は、中国は国際法上の説明も根拠も示していないと批判した。中国は南シナ海において、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイなどと領有権を争っており、九段線の中にもその区域が含まれている。

南シナ海のパラセル諸島付近では2014年の年初にも、ベトナム漁船が中国の監視船に追い回され、乗り込んできた中国の当局者に漁具を破壊される事態が起きている。

漁船を破壊された船長によると、中国の大型監視船が3日、横付けし、乗り移ってきた約20人の当局者に武器で脅され、マグロなど全5トンの魚や多くの機材が持ち去られたという。

 

また、ベトナム中部を出漁した別の漁船も2日、中国の監視船により同様の行為を受け、こちらの船員は暴力もふるわれたという。

 

(MSN産経ニュース「中国、南シナ海でベトナム漁船を破壊」より 2014/01/09 22:10)

中国のこのような行為は、南シナ海に限った話ではない。今月7日には、尖閣諸島に近い日本の排他的経済水域でも同様に、中国漁船に中国海警局が立ち入ったため、日本の海上保安庁が警告を行っている。日本の排他的経済水域では、日本側に主権が及ぶことが国連海洋法条約で定められているため、中国には漁船立ち入りの権利は無いとされるからだ。中国が自国の船に立ち入ることは、尖閣諸島周辺にも中国の主権が及んでいることを主張する目的とみられる。

(海上保安庁の)巡視船が「漁業に関する管轄権を行使しているのであれば認められない」と警告。(中国海警局の船)海警2113は無線で「ここは中国のEEZであり、貴船の主張は受け入れられない」と中国語で応答した。

(MSN産経ニュース「中国海警が漁船立ち入り検査か 尖閣周辺EEZ内」より 2014/01/07 22:51)

中国海南省による南シナ海での漁業制限の条例施行も同様に、中国の領有権の主張を、さらに強める狙いがあるとみられる。これに対し国際社会はどう対応するのか。今後の動向が注目される。

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