中国は26日、中華人民共和国建国の父とされる毛沢東(1893─1976年)の生誕から120年を迎えた。ただ、習近平政権が打ち出した経済改革計画が左派(保守派)を動揺させていることもあり、記念行事の開催規模は全国的に縮小されたもようだ。
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30年に及ぶ改革開放政策により貧富の格差拡大や汚職のまん延といった不公平・不公正な社会が作られたとする共産党内の左派にとって、貧しくても平等だったと懐かしむのが毛沢東時代だ。毛沢東を崇めることで現政権による市場志向型の政策に圧力を加えることは左派の常とう手段となっている。
中国最高指導部にあたる党中央政治局常務委員会のメンバーは生誕120年を記念する北京でのイベントに出席する予定となっている。一方で、全国的に記念行事の規模は縮小された。指導部に近い関係筋2人がロイターに明らかにした。
関係筋の1人は「記念行事の格は高くなるが、数は減らされる」と説明。「三中全会(中国共産党第18期中央委員会第三回全体会議)で打ち出した改革を受け、左派をなだめるために常務委員会メンバーが出席する」と述べた。
毛沢東の肖像は中国の紙幣に印刷されているほか、防腐処理された遺体は北京で保存され、多くの人々が観覧に訪れており、現在でも毛沢東を崇拝する風潮は根強い。
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党内左派に近いもう1人の関係筋は「大規模な記念行事でなくてはならず、そうでなければ人民は満足しない」と話す。
一方で、毛沢東の歴史的評価をめぐっては、功績だけでなく、文化大革命(1966─76年)の混乱を招いたことや、大躍進政策期(1958─61年)の食糧難で多くの死者を出したことについて誤りがあったとの見解を党は示している。
[北京 26日 ロイター]
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