国民年金の保険料を滞納している、年収400万円以上の人からは強制徴収する――。
厚生労働省は12月17日、所得が年400万円以上あるにもかかわらず、13カ月以上、保険料を滞納している人全員に対し、財産を差し押さえる旨を予告する督促状を送り、強制徴収する方針を固めた。MSN産経ニュースが報じた。
対象は推計約14万人。来年度から実施する。現在でも財産差し押さえなど強制徴収はできるが、日本年金機構の人員不足から、悪質な滞納者など一部に限られていた。督促状を送ると保険料納付の時効(原則2年)が停止し、納付に応じない場合には差し押さえの手続きが進められる。
(MSN産経ニュース「国民年金、所得400万円超の長期滞納者から「強制徴収」へ 厚労省方針、推計14万人 - 」より 2013/12/18 00:47)
年金の徴収方法を議論していた厚生労働省の社会保障審議会の専門委員会は13日、年金保険料の徴収体制強化に関する報告書を提出。支払いが可能であるにもかかわらず保険料を納付しない滞納者が多数いることは、真面目に納付している方の納付意欲を削ぐことにもなりかねず、連帯の仕組みを危うくすることにつながりかねないと強調。電話や戸別訪問による納付督励のほか、強制徴収も行うべきとしていた。
■低い国民年金保険料の納付率
国民年金保険料の納付率は、2012年度は59.0%と大変低い。報告書によると、2013年3月の時点では、過去2年分の保険料を滞納している人が約296万人いるという。
また、2009年時点では、強制徴収をおこなったのは、期限までに納付されなかったうちの約0.2%にとどまっており、75%が時効で徴収できなかった。
報告書は「保険料の納付は、支え合いによって成り立つ社会の構成員として、誰もが守らなければならない義務である」と指摘しながらも、非正規雇用の労働者が中高年を含む幅広い年代で増加している点にも言及。低所得者向けに納付を一定期間、猶予する制度の対象を、これまでの20代だけに限定せず、見直すべきではないかと提言している。
■月収8.8万円でも厚生年金まで納める? 納付率は上がるが……
なお、2016年10月からは、週20時間以上、月額賃金8.8万円(年収106万円)以上などの人を対象に、厚生年金保険の対象が拡大される。これは非正規労働者へのセーフティネット強化等の観点から検討されたものであるが、結果的に国民年金保険料の納付率の向上にもつながるといわれている。
しかし、これまで年収130万円以下であれば保険料の負担がなかったパート勤務などの主婦らに対しても、年収106万円を超えれば、厚生年金保険料が課されることになる。そのため、どこまでを対象にすべきかという議論も行われている。
【※】国民年金保険料の徴収のあり方についてあなたはどう考えますか。ご意見をお寄せください。
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