韓国での戦時徴用裁判「国際社会は日本に味方するだろう」との意見も

韓国における日本の戦時徴用をめぐる問題で、すでに日韓請求権協定において解決済みとする日本政府は、韓国国内の裁判で来年早々に最高裁で敗訴になれば、国際法違反として訴える姿勢を明確にしている。この問題についての読者から寄せられたコメントをまとめた。
JAPAN - 1939: War 1939-1945. Japanese students mobilized to work in a factory. LAPI-45399A. (Photo by LAPI/Roger Viollet/Getty Images)
JAPAN - 1939: War 1939-1945. Japanese students mobilized to work in a factory. LAPI-45399A. (Photo by LAPI/Roger Viollet/Getty Images)
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韓国における日本の戦時徴用をめぐる問題で、すでに日韓請求権協定において解決済みとする日本政府は、韓国国内の裁判で来年早々に最高裁で敗訴になれば、国際法違反として訴える姿勢を明確にしている。

戦時徴用とは、戦況の悪化に伴う労働力不足から国民に対して政府が強制的に軍需工場などへの勤務を命じていたこと。1944年〜45年に朝鮮半島出身者も日本本土の工場などに動員されていたが、近年、韓国内で日本企業が訴えられて敗訴するケースが相次いでいる。日本の杉山晋輔・外務審議官は、韓国に対して「最高裁での敗訴確定なら国際司法裁判所に提訴する」と警告した。

杉山氏は、日本企業の賠償責任について、巨額の賠償金と引き換えに両国間の請求権放棄を定めた昭和40年の日韓請求権協定により「『完全かつ最終的に解決済み』と確認した」と強調。元徴用工の個人請求権を認めたソウル高裁の判決自体が「明確な国際法違反だ」とし、日本側が賠償を支払う義務がないことを改めて指摘した。

(MSN産経ニュース「戦時徴用訴訟で韓国に警告 政府、敗訴確定なら「国際司法裁に提訴」より 2013/11/25 08:18)

この件についてまとめたハフポストの記事『戦時徴用裁判で韓国に警告 杉山晋輔・外務審議官「敗訴確定なら国際司法裁判所に提訴」』に寄せられたコメントを抜粋してお伝えしたい。

■政府はきちんと対応すべきとの意見

強硬に対応すべきとの意見。

法を無視した国民情緒法での敗訴の場合、国際司法裁判所に提訴すべきで、韓国がこれに応じなかった場合は、国際司法裁判所での解決に応じないことそのものを理由に支払いを拒否すべき。韓国の司法の法の無視は著しい。これに従うことは全く出来ないし、国際社会は日本に味方するだろう。

韓国に法的な整合性が見られないと批判する意見。

【憲法 第一章総綱 第六条】

”憲法に基づいて締結・公布された条約および一般的に承認された国際法規は、国内法と同様の効力を有する”

- 大韓民国憲法より

・・・ご存知のように、企業は”法人”とも言いますし、法に則った上で経済活動を行う団体のことです。韓国はすでに、日韓基本条約をも反故にするような司法判決が出ており、韓国は自国憲法にすら違反する行為をしており、韓国に法的整合性というもの自体が存在していないようにも思われます。

「きちんと対応すべきだが、冷静な判断が必要」という穏健な声も多い。

“政府はドイツとイタリアの裁判のケースを見ていると思います。

戦争中ドイツナチスに強制労働を強いられたとしてイタリア人がドイツ政府を訴えていた事件(フェリーニ事件)で、2004年イタリア最高裁は原告の訴えを認め、ドイツに対して賠償を命じる判決を下しました。

それに対してドイツは、主権免除(外国政府が他国の裁判権に属することはない)を主張し、イタリアの判決は国際法違反だとして2008年国際司法裁判所(ICJ)に提訴し、2012年ICJはドイツの訴えを全面的に認める判決を出しました。

日韓のケースはドイツ・イタリアのケースとは異なるものの、戦時における強制労働の補償に関する裁判ということでは共通するものです。場合によってはICJを通じて法による解決を求めるのは国際紛争を解決する手段として日本が強く推進すべき方法だし、今回の日韓のケースでも当然ICJ提訴による解決の模索は行われるべきだと思います。

“個別請求は終わりにするといいつつ大統領が変わるとまた請求する。

そのような姿勢に反感を持っているしうんざりしている。

ただ、一部の国会議員が経済制裁を口にしているけれど、過去の日本の言動と齟齬が生じていないか、日本は一度冷静になるべきではないだろうか。

請求権条約を見る限り、確かに「個別請求権の問題解決」と「相手国家に対する個別請求権の放棄」になっているけれど、国会で外務省条約局長がどのような答弁をしていたか。

「(日韓基本条約は)いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではない。」と答えていないか?

「国際司法裁判所に提訴する」ことも最終的には必要なのでしょうが、その前に韓国側が提訴を自ら取り下げるような、水面下での交渉や施策を政治・経済の側面から売ってほしいもんです。

裁判で白黒つけるというのは、その時は良いですが、今後の両国にとってドロ沼に自ら入っていくような気がしてなりません。

■強硬な姿勢に反対する意見

韓国内の訴訟について内政干渉は避けるべきという反対意見もある。

まず、外国で進行中の訴訟に対して政府次元で圧力をかけるような態度は、それが正当か不当かの判断を別としても、韓国側から見れば内政干渉や一種の挑発と受け止められるでしょう。

仮に、日韓の政府が、日本の主張に同意して、韓国政府が韓国大法院に訴訟を中断するか、日本の主張に沿った判決を出すように要請したとしたら、どうなりますか? それによって大法院が訴訟を棄却したり判決を調整すれば、これは韓国内の三権分立を深刻に壊します。司法が、外国や政府の圧力に屈することはできないでしょう。

逆に考えれば、日本が報道のような内容の圧力をかけたことで、韓国の司法としては「圧力に屈した」という批判を避けるために、むしろ日本が望む判決とは反対の判決を出す圧力として作用しかねないということです。

ひとことで、日本は愚かな「警告」をしてしまったということです。

■その他の意見

二国間では平行線なので、第三国でテレビ討論しては、というユニークな意見もある。

重要なポイントは、当事者間だけだと平行線になる議論に、第三者の見解を入れるというものですから、たとえば米国とか欧州のテレビとかで討論会を実施するとか、世界レベルでアンケートを取るとかを、日本政府が金を出して行うみたいな方法もひとつかと思います。

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