深海ザメの一種のミツクリザメが、神奈川県の相模湾で大量に捕獲され、11月14日から横浜市内の水族館「八景島シーパラダイス」で11匹が緊急展示されている。ミツクリザメは、日本では相模湾や駿河湾などの水深1200メートルほどの深海に生息しており、口先がヘラのように長く突き出ているのが特徴。欧米では「ゴブリン・シャーク」の異名で知られているが、その生態には謎が多い。
【2013年11月16日追記】現地取材した写真ギャラリーを追加。
このサメが捕獲されることは珍しく、八景島シーパラダイスの公式Twitterでは「八景島で過去にも展示したことはありますが、いずれも単体。これだけの数が一度に展示されたことは飼育担当も聞いたことがない」と、興奮ぎみにつぶやいている。
今回のミツクリザメは、11月13日に水深約300メートルの刺し網漁で13匹が捕獲されたもの。生きていた11匹が水族館に運ばれた。NHKニュースでは以下のように伝えている。
13日、横須賀市の長井沖で水深300メートルほどに仕掛けたかに漁の刺し網に13匹のミツクリザメがかかっていて、このうち生きていた11匹が水族館に運ばれました。水族館によりますと、まとまった数が生きたまま捕獲されるのは珍しいということです。ミツクリザメは大きいものは体長3メートルほどになりますが、見つかったサメは1メートル50センチほどで若いサメとみられています。
(NHKニュース『「ミツクリザメ」相模湾で捕獲』2013/11/14 17:44)
ミツクリザメは古代のサメの特徴を残しており、葛西臨海水族園での飼育記録を伝える東京ズーネットの記事では以下のように書かれている。
1億5千万年前に生きていたサメ「スキャパノリンカス」(属名Scapanorhynchus、スカパノリンクスなどとも)の特徴を残しており、「生きた化石」ともいわれています。
(東京ズーネット「生きた化石、ミツクリザメ死亡しました」2009/01/18)
ミツクリザメは飼育が難しく、今回も長生きするのは難しいと見られる。水族館の公式Twitterも「シーパラでの過去の飼育記録は6日間。長期飼育の難しいサメですので今後飼育数は減少していくと思われます」と告知しているので、深海魚ファンは早めに見に行くことをお勧めしたい。
【2013年11月16日追記】 ハフィントンポストの記者が16日夜に現地取材したところ、元気なのは深海水槽に展示された1匹のみ。この水槽の残りのミツクリザメ3匹は水槽の底に横たわっていて、その中の1匹が時折、何かを思い出したかのように泳ぎ出す程度だった。それでも貴重な深海ザメの姿を一目見ようと、多くの人が足を止めて赤い光に包まれた深海水槽に、じっと目を凝らしていた。
東京都から夫婦で訪れた30代の男性は「NHKの深海ザメの特集を見てから、独特な姿をしたミツクリザメのことが気になっていたました。今回、捕獲されて長期間生きてられないと聞いて、急いで来ました。実物を見れて感無量です」と、満足げに話していた。
【2013年11月19日追記】 ≈。やはり長期飼育は難しく、最長でも5日間の短い命だった。同館では「この知見を活かし、今後も長期飼育に挑んでいきたいと思います」と公式HPで声明を出している。
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