成人年齢や選挙権を与える年齢を、18歳に引き下げるための法整備を、3年以内に行う−−。
自民党の憲法改正推進本部は29日、憲法改正手続きを定めた国民投票法改正案に、公職選挙法の選挙権年齢や、民法の成年年齢の引き下げについて「3年以内に必要な法制上の措置を講ずる」という文言を明記する方針を固めた。朝日新聞デジタルが報じている。
2010年に施行された国民投票法は施行までに、憲法改正のための国民投票年齢と一緒に、成人や選挙権年齢の18歳への引き下げを求めているが、法改正が膨大になることなどから法務省が難色を示し、実現していない。自民党は当初、国民投票のみ18歳に引き下げ、成人や選挙権年齢については「速やかに措置する」とする国民投票法改正案を準備し、引き下げを先送りする方向だったが、党内から「同時に18歳に引き下げるべきだ」との反対が続出。期限を区切って実現を目指すことにした。
(朝日新聞デジタル『18歳成人法整備「3年以内に」 自民、国民投票法改正後』より。 2013/10/30 05:00)
国民投票法は2007年、第1次安倍内閣のときに成立した。この時の経緯や問題点を、自民党の西田昌司参議院議員は次のように話している。
憲法96条では憲法改正の手続きについて、「国会で衆参各議院の総議員の3分の2以上の賛成を経た後、国民投票によって過半数の賛成を必要とする」と定めているが、これまで国民投票を行ったことがなく、どのように行うかという手続きの方法もなかった。そのため、第1次安倍内閣でこの手続を定める「国民投票法」が作られた。
このとき、国民投票を行うことができるのは18歳以上とされた。18歳以上とする案は、民主党側が出した。民主党が法案に賛成してくれるというので、自民党もこのときは18歳に応じた。
18歳という案が出されたのは、世界各国で18歳以上とする例が多かったためだ。各国では18歳で国防の義務を負う制度がある。国民としての義務を負うのだから、憲法改正の議論にも参加できるとしている。
一方日本では、20歳になるまで保護が必要とされており、義務を果たしていない。義務を果たしていないのに、憲法改正の議論に加わることはおかしい。
おかしいものはおかしい。間違いを認めて、きちんと議論しなくてはいけない。
(超人大陸「西田昌司の目覚めよ!日本人「憲法改正国民投票だけ18歳に引き下げるのは筋が通らない」」より。)
さらに西田議員は、国民投票の投票権18歳に、選挙権年齢や成年年齢を合わせるのであれば、300から400の法律を修正することになって大変であるし、また国民の間でも18歳に引き下げるべきかの議論が巻き起こるであろうと話した。
成人年齢を18歳に引き下げることについて、どのような意見が出ているだろうか。
法政大学の小黒一正准教授は、60歳以上の方と20歳未満の方の生涯収支などを比べ、18歳から選挙権を与えることに賛成している。
60歳以上の場合税金や保険料など生涯を通じた負担は1億2000万円であるのに対し年金や医療保険などからの受益は1億6000万円と生涯の収支は、およそ4000万円のプラスになると推計されています。これに対して20歳未満の場合は負担が2億円であるのに対し受益は1億2000万円と生涯の収支では8000万円のマイナス。世代間の差は実に1億2000万円にも上る可能性があります。
こうした格差を是正し社会保障制度を維持していくためにも社会に参加する若者を少しでも増やすことが必要だと専門家は指摘します。
一橋大学経済研究所 小黒一正准教授
「持続不可能になって若い人たちと将来世代に、ツケとして降りかかってくると。
18歳から選挙権をあげて、若い人たちの政治的ボリュームを少し引き上げてあげると。」
(NHK クローズアップ現代「18歳は大人か!? ~ゆれる成人年齢引き下げ論議~」より。 2012/04/11)
一方、現役の高校生は成人年齢の引き下げを望んでいないとする調査結果もある。静岡県の沼津東高等学校のアンケート調査では、生徒の65%が、成人年齢の引き下げを望んでいないという結果が出ている。
反対派の主な理由としては、「未熟であり、成人としての自覚を持てない大人が増えるから」「お酒や喫煙などの問題が増えそうだから」「お金を稼げないのに、自分自身自覚を持てそうにないから」などが寄せられた。また中には「センター試験のころに成人式などされたら困るから」などといった受験生ならではの理由も寄せられた。
(「みらいぶ」高校生サイト「18歳成人 賛成?反対?高校生アンケート/沼津東高校新聞部」より。)
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