ダイソーが韓国「ダサソー」に敗訴した。「1文字違い」では商標類似にあたらないという。今年4月の判決が覆った形だ。一文字違いの証明は難しいのだろうか？
100円ショップ「ザ・ダイソー」の韓国での商標権者が、商標権を侵害されたとして韓国の格安雑貨店「ダサソー」に商標の禁止を求めた裁判で、韓国の裁判所はダイソー側の敗訴の判決を言い渡した。ダイソー側は、控訴する方針。時事ドットコムが報じている。
同地裁は、「ダサソー」が韓国南東部の慶尚道方言の「全部買って」と発音が近い点に触れ、「二つの商標は、発音や観念が違い、商標権を侵害するとみなすことはできない」と説明した。
（時事ドットコム『「ダサソー」使用ＯＫ＝ダイソー商標権侵害せず－韓国』より。 2013/10/29 11:50）
ダイソーは韓国語で「다이소（ダイソー）」と書く。しかし、韓国で生活雑貨店を展開する「다사소（ダサソー）」の商標と1文字違いであるため、ダイソー側は「ダサソー」の商標停止を求めており、今年4月には、ダサソーの商標使用を差し止める判決がなされていた。
今回の訴訟で韓国裁判所は、商標の1文字違いだけでは、侵害には当たらないとした。双方の名称の意味合いや、「両方のサービスマークは、フォントや影の感じが違い、見かけ上も似ていない」という点などから判断したという。
これまでにも海外では、韓国企業による「1文字違い」の商標登録訴訟が存在する。下記のGoogleの商標と類似ではないかとされた際も、韓国企業側が勝訴している。
喜來健は血圧計、紫外線ランプ治療機器等の医療向け及び非医療向け物理療法機器を生産しており、2008年に経済部知的財産局に対して「Goodle」商標登録を出願し、血圧計、物理療法機器、マッサージ機等の医療用商品･役務での使用を指定した。しかし知的財産局著名サーチエンジン「Google」の商標と文字の構成が類似しているため、商標法第23条の規定に基づいて拒絶査定を行った。喜來健はこれを不服として訴願を提起したが棄却されたため、知的財産裁判所に行政訴訟を提起し、勝訴の判決が下された。
（台湾国際専利法律事務所「「一字違いは問題なし」、韓国企業が知的財産局に勝訴」より。 2011.01）
特許庁は商標の類似について、称呼や外観、観念などが類似している場合は商標登録が出来ないことがあると説明する。
称呼（呼び方）が似ている場合、同じ分野であれば商標登録が出来ない場合がある。例えば「テルライト」という登録商標が「デジタルカメラ」の分野で登録されていた場合、「テレライト」を「ビデオカメラ」の分野で登録しようとしても出来ない。
呼び方については、ネーミングの「音の数」や「子音か、母音か」の違いで、似ているかどうかの感じ方が違ってくるため、専門家による判断が必要だという。
■ 判断が難しい３音（３文字）ネーミングの場合
３音（３文字）で構成されているネーミングの場合、先願商標と１音（１文字）の違いがあり、その１音同士が母音または子音を共通にするときは、通常類似と判断されます。しかし、その差が語頭音（最初の文字）にある場合には非類似と判断されることがあります。
例５：「ビブロ※2」 VS 「ボブロ」
↑弁理士によれば、非類似と判断される可能性が高い。
（理由）３音のネーミングは極めて短い音構成であり、語頭音（最初の文字）が違えば商標全体の印象が大きく違ってくるからです。
（日本ネーミング＆リサーチ「ネーミングどこまで似ていると類似？」より。）
「観念（意味合い）」が同じかどうかも、商標侵害にあたるかどうかの判断に使われる。「夢二」と縦書きした商標が「竹久夢二」の商標と類似するとされた例がある。
なお、朝日新聞デジタルによると、ダイソーに名前が似ている店は、次々登場しているという。
関係者によると、「ダサソー」のほか、「サイソー」など紛らわしい名前の同様の格安店が次々と登場しているという。
（朝日新聞デジタル「「ダサソー」と「ダイソー」 韓国で判決「似てない」」より。 2013/10/29 20：48）
日本貿易振興機構（JETRO）のレポートによると、これまで韓国には「模倣大国」と言われていた時代もあったが、サムスン電子などの韓国製品のイメージ向上により、知的財産権の侵害に苦しむ企業が多くなったという。そのため、韓国企業自身の知的財産権保護のため、対応方案を積極的に模索している状態とのことだ。
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