総務省が発表した9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は100.5で、4カ月連続で上昇した。これを受けて安倍政権の閣僚がコメントを出したが、甘利経済再生相と麻生財務相の意見に差異が見られる。それぞれどのようなコメントを出しているのだろうか。
デフレ脱却へ、8合目半ば=CPIで甘利経済再生相
甘利明経済再生担当相は25日の閣議後の会見で、9月の全国消費者物価指数が前年比0.7%上昇と4カ月連続のプラスとなったことなどに関連して、「デフレ脱却に向け8合目半ばに至っている」と評価した。
コアコア指数が0.0%と2008年12月以来のマイナス脱却となったことについては、デフレ脱却へ通らなければならない経過だと語った。
甘利経済再生相は消費者物価指数の動きについて「デフレから脱却し、なおかつ経済が健康的に発展していくというためには、いわゆるコストプッシュ型の物価上昇でなく、ディマンドプル型の物価上昇でなくてはならない」と指摘。コアコア指数がマイナスを脱却したことについて「デフレ脱却へ必ず通らなけばならない経過だと思っている。いい動きになりつつある」と述べた。
さらに、物価が上がって健康な状況を取り戻しつつあるとし、「本当に健康になるには物価上昇を超えて賃金が上がる、好循環のサイクルに入ることが大事だ。賃金について政府として踏み込んだ行動に出ているが、起こるべきいい動きを政府が後押しする、それがしっかりできたときにデフレから脱却できたといえる」と述べた。
連合が来年の春闘で1%以上のベア要求を決めたことについて、「デフレ脱却に向け、政労使会議でそれぞれが好循環を回す役割を果たす共通認識を持ちたいと提案していたが、それに沿った動きが関係各者で始まっている」と評価。「好循環に関するステークホルダーが自己の役割を認識し、好循環を動かしていく、押していく作業に参加することは歓迎する」とした。
(石田仁志)
[東京 25日 ロイター]
デフレ脱却にはまだしばらくかかる=麻生財務相
麻生太郎財務相は25日、閣議後の会見で、今朝発表された9月全国の食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く消費者物価指数(CPI)が2008年12月以来のマイナス脱却となったことについて、安倍政権下での経済政策効果が確実に出ているとしながらも、デフレ脱却にはまだしばらくかかるとの認識を示した。
消費者物価がマイナス圏を脱したことについて麻生財務相は「これまで10カ月の経済政策の効果が、確実にコアCPI、コアコアCPIに出ている」とし、「今後ともこの方向で進めていかなければならない」と語った。
ただ、デフレに後戻りしない状況と定義する「デフレ脱却」には、「まだまだしばらくかかる」と見通した。
総務省によると、9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は前年同月比0.7%上昇した。上昇幅は8月の0.8%から縮小したが、4カ月連続のプラスを維持。食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く指数(コアコアCPI)も同0.0%と2008年12月以降初めてマイナス圏を脱した。
<消費税10%判断時期、14年7─9月GDPが大きな判断要素に>
消費税率を予定通り2015年10月に8%から10%に引き上げるかどうかの判断時期について、麻生財務相は、15年度予算編成に支障がないようにするには14年末までの判断が望ましいとの見方をあらためて示した。その際「14年7─9月GDP(国内総生産)が一番大きな要素になる」とした。
安倍晋三首相は24日の参院予算委員会で10%への消費増税判断時期について「時期も含めて、上げるか上げないか、適切に判断しなければならない」と従来の答弁を繰り返す一方、「来年4月に消費税率を引き上げた影響はどうか、7─9月に回復傾向に入ることができるか、そういうことを含めて判断したい」と述べた。一部では、来年11月に速報値が、また12月に確報値が発表される14年7─9月期のGDPなどの経済指標を見た上で判断する考えを示唆したとの観測が広がった。
麻生財務相は判断時期をめぐって安倍首相と話はしていないとした上で、判断時期に関して、予算編成の事務的な話として、10%に引き上げられる半年前の15年4月ではなく、「予算編成の事務手続き上の話として、12月に決めてもらわないと翌年の予算編成の歳入見積もりが狂う問題がある」と説明した。
<みずほ銀処分案への言及控える>
みずほ銀行が暴力団関係者らへの融資を放置していた問題で、同行が佐藤康博頭取を一定期間無報酬とする方向で処分案の検討に入ったと報じられたことについて所見を求められたが、「決定していない段階で仮定の質問に答えるのは控える」と述べるにとどめた。
(ロイターニュース 吉川裕子 編集;山川薫)
[東京 25日 ロイター]
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