流通大手のイオンは10月16日、文藝春秋の週刊誌「週刊文春」の産地偽装米についての報道が名誉を毀損するとして、東京地裁に訴えた。
イオンは16日、産地偽装米をめぐる「週刊文春」の報道で名誉が毀損(きそん)されたとして、出版元である文芸春秋に1億6500万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたと発表した。イオンは「週刊文春」誌上での謝罪広告の掲載や、該当記事の文芸春秋ホームページからの削除も求めている。
(時事ドットコム「イオン、文芸春秋を提訴」より 2013/10/16)
文藝春秋は、10月7日発売の「週刊文春」で、イオンが販売した弁当に国産米と表示されていながら、実際には中国産の米が混入していたことを報道した。報道に先立つ10月4日、農林水産省はイオンに米を卸していた三瀧商事に改善指示を出していた。
記事の概要は文藝春秋のウェブページに記載されている。
「中国猛毒米」偽装 イオンの大罪を暴く
報道は氷山の一角
▼イオンは本誌にズサン検査を認めた ▼偽装商社の強欲女社長 ▼岡田社長と中国の親密すぎる関係 ▼農家に「キロ200円」買い叩き ほか
(週刊文春WEB「週刊文春2013年10月17日号」より)
この報道を受けイオンは、週刊文春の該当号を売り場から撤去。文藝春秋側も「販売中止は読者の知る権利、報道の自由を失わしめ、誠に遺憾です。当該記事は事実です」とするなど、真っ向から対立していた。
イオンはこの訴えで求めているのは、1億6500万円の損害賠償、週刊文春および新聞で謝罪広告の掲載、ウェブサイトの該当部分の削除、訴訟費用の負担。主張している内容は以下の通り。
三瀧商事株式会社に対する農林水産省の立入検査結果によれば、「安全性に問題が ある米穀が食用に流用されたという事実は確認されていない」とのことであり、 ましてや当社が猛毒に汚染された大量の中国産米を安全な米であると偽装し、当社のお客さまに販売していたなどとする事実はありません。
食品の中国からの調達については、当時、国内での販売額の10%以下と低い構成比でありました。よって、当社が取り扱う全商品のおよそ8割を中国から仕入れているという事実はありません。
当社は弁当やおにぎりに使用する米飯の商談については、米卸業者・商社と行っているため、農家と直接交渉を行うことはなく、不当な圧力をかけたとする事実はありません。
本件記事における事実の摘示・論評は、根拠を有せず著しく公正さを欠いた報道であり当社の名誉を毀損していることから、本件記事の出版社を相手として損害賠償及び名誉回復措置を求めるものです。
(「株式会社文藝春秋に対する訴訟提起について」より 2013/10/16)
一方、週刊文春側も争う姿勢を見せている。
文藝春秋は「記事には絶対の自信を持っている」とコメントしています。
(NHKニュース「流通大手イオンが文藝春秋を提訴」より 2013/10/16)
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