麻生太郎財務相は名古屋での講演において、消費増税による景気の腰折れを防ぐための対応の一つとして、交際費にかかる税金をなくす検討を始めると話した。朝日新聞デジタルが報じている。
一番手っ取り早い方法は交際費課税の撤廃。接待、お歳暮、お中元。280兆円、気持ちよく使おうよ。強制されて使うのは面白くない。12月にかけてこの話を財務省、自民党税制調査会でやる。自民党は理解できると思うが、役所はそんな簡単じゃないが、やりたい。
(「「接待、お歳暮…交際費課税の撤廃やりたい」麻生財務相」より。 2013/10/07 08:05)
政府は既に2013年度の税制改正において、資本金1億円以下の中小企業についてのみ、年800万円までの交際費を経費として認める改正を行っている。それまでは交際費の1割もしくは600万円を超える金額は、損金としては認められていなかった。
交際費課税の撤廃を唱えているのは、麻生財務相だけではない。民主党の櫻井充参議院議員は、2月18日に行われた参議院予算委員会で、中小法人だけでなく大企業にも認めるべきではないかと麻生財務相に問うている。
民主党・櫻井充参議院議員:二十五年度税制で麻生大臣にお伺いしたいんですが、私はお金が回っていくことがデフレからの脱却だと思っていまして、交際費課税(撤廃)をもう少し大企業にも認めさせるべきじゃないのかと思うんですが、大臣、いかがですか。
麻生財務相:大企業まで広げていくかというのは、これは税収等々をよくよく計算してみなきゃいかぬところなのでうかつなことは申し上げられないと思いますが、少なくとも会社で多分課長さんが若い社員つかまえて今晩一杯飲みに行こうというほどの給与の支払は今行われていないと思います。会社の中の元気とかいろんなことを考えたときに、私は、大企業においてもそういったことを、考えてしかるべき方向かなと考えてはおります。
御存じのように、交際費支出については、いわゆる乱費の抑制等々を考えて原則損金不算入にしているのは御存じのとおりなんですが、中小法人につきましては少なくとも財務とか資金繰りとかそういった基盤がもう弱いというところもありましたので、いろいろなことを考え、大企業のように広告費に金を使うということもできるほどの規模でもないしということで、大企業とは異なる取扱いをさせていただいたんですが、税収を見ますと、平成二十四年度予算ベースで約二千億ということになっております。
したがいまして、こういう事情ではこの特例を少し拡充することとしたんですが、今おっしゃるように、そういったものが私は、金が、もっと内部で止まっている金が外に回っていく一つの手段として、私はこの交際費課税というものが大企業に広げていくのは方向として考えられてしかるべきかなと、私自身はそう思っておりますが、今から役所内で、抵抗激しき中、政治主導を頑張らなきゃいかぬところかなと思っております。
(「参議院・予算委員会議事録」より。 2013/02/18)
また、3月8日に行われた衆議院の予算委員会でも、財務相の反対にあったと話している。
麻生財務相:昨年、財務省に行ってこの話をしたときは総スカンでした。全く受けませんでした。無理もないと思いましたけれども。
しかし、現場を知っている人間からいったら、地方の商店街に限らず、繁華街等々、やはり地方の町が疲弊していった一番大きな理由はこの交際費課税にあったと、私は地方にいるせいか、特にそう思っています。
(「衆議院・予算委員会議事録」より。 2013/03/18)
また、4月22日に行われた参議院予算委員会では、交際費課税撤廃による税収の影響は、約350億円程度減収になると話しているが、その分、使われたお金が世の中に回るとも指摘している。
インターネットでも、麻生財務相の考え方に賛成の声が上がっている。
企業側の経理業務が軽減するという意見も見られた。
一方、麻生財務相の考えはズレているとする意見もある。
確かに、内部留保が全体で280兆円ほどにも上っているのかもしれませんが‥しかし、それは、従業員たちの給与を可能な限り低く抑えて初めて得られた結果であるのです。そうやって爪に火をともして貯めたようなお金で、会社の幹部たちが豪遊するようなことが許されるのか、と。
まあ、無理でしょう。その前に、賃上げをしろと言われるでしょう。
(小笠原誠治氏ブログ「交際費を非課税にすれば景気がよくなるという麻生副総理の矛盾」より。 2013/10/07 10:23)
交際費課税の撤廃は、行われるべきでしょうか。あなたの意見をお寄せください。
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