小泉純一郎元首相の「脱原発」発言に、かつての仇敵が賛意を示した。「生活の党」を率いる小沢一郎代表が、10月2日の会見で「冷静に日本を考える人であれば、たいてい行き着く結論だろう」と評価したのだ。1993年に小沢氏が自民党を離党して以降、立場は与野党で真逆ながら日本の政界をリードしてきた2人が奇しくも同じ結論に達した。
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小泉元首相は現役時代には原発を推進していたが、今年に入ってから「脱原発」発言を繰り返している。9月27日に、みんなの党の渡辺喜美代表と会談した席で「安倍首相は脱原発のリーダーシップを取るべき」と発言。10月1日には、名古屋市内での講演「核のゴミの処分場のあてもないのに原発を進める方がよほど無責任」と述べて、脱原発への政策転換を訴えた。
これに対し、2006年当時は民主党代表として小泉政権に対峙していた小沢一郎氏。2009年では念願の政権交代を成し遂げたものの、消費税増税をめぐって離党。現在は所属する国会議員わずか9人の「生活の党」で「原発ゼロで経済成長を実現する」と脱原発を訴えている。9月21日には、「もう一度、自民党に対抗できる政権の受け皿をつくりたい」と、再度の政権交代に夢をつなぐ。
果たして「脱原発」というキーワードが、小泉氏と小沢氏というかつての仇敵を結びつけ、新たなる政界再編のきっかけとなるのかどうか。生活の党が、ニコニコ動画にアップしている記者会見の動画によると、会見での東京新聞の記者との詳しいやり取りは以下の通りだ。
−−最近、小泉元総理が脱原発について「政治が決断すれば一気に進むものだ」と発言していますが、生活の党の政策とも近いと思うのですが、この点についてどうお感じですか?
「小泉氏とは別に話し合うわけではないので、どういう心境の変化か私には分かりませんけども、彼も総理大臣を経験して、大きな、あるいは高い立場から冷静に考えた場合に、この福島の原発事故を契機にして、『原子力はやめることにした方がいい』という思いに至ったんだと思います。
冷静に日本の現状と将来を考える人であれば、たいてい行き着く結論だろうと思います。特に事故の対応については、私どももずっと機会のあるたびに言っておりますが、全く放射能の封じ込めができていない。
一生懸命、いい加減な話をして事実を隠しておりますけども、段々と隠し切れなくなってくるのではないか。そのときは、かなり福島県そして日本にとって悲劇だと思いますけども、そのことを現実の政治の場を離れて、冷静に見た場合にそういう思いに至ったのではないかと思います」
なお、民主党の仙谷由人元官房長官は、小沢氏とは対照的に小泉発言を批判している。10月5日放送のTBSの番組の中で、次のように言葉を荒げた。
「自民党が東京電力を中心としたお粗末な原発推進体制を作ってきたことへの反省がない限り、結論だけを言ってウケを取るのは唐突で、いかがなものか」
(MSN産経ニュース 民主・仙谷氏が「脱原発」発言の小泉元首相を批判 2013/10/04 17:34)
【※】小泉氏も小沢氏は実はおない年。1942年生まれで71歳です。90年代以降の政治の台風の目だったベテラン政治家と元政治家の2人が、現在は「脱原発」という同じ結論に達したことを皆さんはどう考えますか?コメント欄にご意見をお寄せください。
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