au 田中孝司社長、「iPhone戦争」で事実上の勝利宣言

9月20日の新型iPhone発売以降、ドコモからもソフトバンクからもauに転入している――10月2日、auの2013年秋冬モデルの発表会でKDDIの田中孝司社長が明かした。
The Huffington Post

9月20日の新型iPhone発売以降、ドコモからもソフトバンクからもauに転入している――10月2日、auの2013年秋冬モデルの発表会でKDDIの田中孝司社長が明かした。

「おかげさまで、iPhone 5sの在庫が非常に厳しい中、9月は3社の戦いの中、ドコモさんからもソフトバンクさんからも流入させていただきまして、auにとって非常に良い結果になったのかなと思っています」

と語り、3社の競争で優位に立っていることをほのめかした。9月の契約数の速報値は、来週にもTCA(一般社団法人電気通信事業者協会)から発表される。

NTTドコモの参入により、通信大手3社すべてがiPhoneを取り扱うことになり、通信会社の競争のポイントは「通信品質」に移りつつある。現在のスマホでは、高速通信規格「LTE」のエリアの広さや密度が通信の「つながりやすさ」「速さ」がカギになる。auは電波が届きやすい「プラチナバンド」でLTE網を構築していたため、新型iPhoneでは、他社より通信品質が良いのでは、との下馬評だった。

iPhone発売前にはEngadget日本版がインタビューし、社長自ら通信品質についてアピール。9月30日にソフトバンクの発表会で、様々なデータを用いながら「ソフトバンクが一番」と訴えていた孫正義社長とは対照的に、田中社長は比較データでなくプラチナバンド優位性を訴えた。

「アピールしたいのは800MHz・プラチナバンドのau 4G LTEです。技術屋の私としてはこういう言葉を使いたくないんですが、『回りこむ電波』ということで800MHzは、ビルの向こう側まで電波が届きますし、『入り込む電波』で、ビルの中にも奥深く電波が届くようになっています。これまではビルの奥に行くと3Gにするとかありましたが、プラチナバンドのLTEですと、本当に人に寄り添うように電波がくっついてくる」

今回の発表会ではプラチナバンドの優位性を印象付ける演出がなされ、出席者に配布された飴にまで、「プラチナバンド」「800MHz」「4G LTE」と書く力の入れようだった。

LTE網をめぐっては、auはプラチナバンドに対応していないiPhone 5の発売後、エリアを事実より広く「誤記」した問題や、通信障害、パケ詰まりが多いとの調査結果が出たこと、満足度調査で大きくソフトバンクに遅れを取るなど、苦しい状況が続いており、新型iPhoneのプラチナバンド対応で、反転攻勢としたい構えだ。

一方、プラチナバンド非対応のiPhone 5を使い続けるユーザーももちろんいる。田中社長はiPhone 5について、以下のように述べている。

「障害を起こしたことに関しては早急に施設の増強を進めましたし、トラブルも直してバージョンアップしましたが、それだけじゃダメだと思ってます。(iPhone 5が対応する2GHz)エリアのカバー率は、年度末までに80%までカバーするとお約束しましたが、9月末で77%まで急ピッチで上ってきております。2GHzに関しても、800MHzと同等まで持って行きたい、という風に思っています。さらには今すぐ800MHzを使いたいというお客様についてはiPhone 5の下取り額をアップさせていただいて、お客様にご不満がないように配慮させていただきましたので、ぜひご理解いただきたいと思います」

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