沖縄県八重山諸島の3市町で中学公民の教科書採択の結果が割れ、竹富町が同地区が選んだものとは違う教科書を使っている問題をうけて、文部科学省は9月29日、地方自治法に基づき法的改善を求める 「是正要求」をする方針を固めた。朝日新聞デジタルが報じた。
石垣市と与那国町、八重山町の3市町からなる八重山地区では中学公民の教科書が一本化できない問題が続いていた。
八重山地区では、2011年夏、使用教科書を検討する採択地区協議会で「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社による教科書を採択した。他の2市町は従ったが、竹富町は独自に東京書籍の教科書を選択。これにより国の無償給付が受けられくなったため、昨年度、今年後の教科書は民間からの寄付金で購入していた。
NHKニュースによれば、育鵬社の教科書について石垣市と与那国町は「尖閣諸島の領有権について分かりやすく記述されている」などと評価したが、竹富町は「育鵬社の教科書は沖縄のアメリカ軍の基地問題に触れていない」などとして意見が分かれていたという。
教科書採択については、法の矛盾が指摘されている。採択地区協議会で決めた同じ教科書を使うと定める教科書無償措置法がある一方で、地方教育行政法は各市町村に採択権限を与えているのだ。
採択地区内で同一の教科書を使わないのは「違法状態」にあたるとして、文部科学省の義家弘介政務官は今年3月、竹富町と県教委を訪れ、1つの教科書を選ぶよう指導していたが、竹富町は「違法状態ではない」と回答していた。
下村博文文部科学省大臣は、このままでは違法状態が3年にわたって続くおそれがあるとして、改善を義務づける「是正要求」を竹富町に出すよう、沖縄県に近く指示する意向を固めた。民主党政権下では違法状態が容認されてきたが、安倍晋三政権では法治国家として看過できないと判断した。
国の「是正要求」は法令上、地方自治体に対する最も強い措置で、教育行政では初めてとなる。関連省庁と調整し、来月上旬にも発出する見通しだ。
教科書採択をめぐり、国と八重山町の意見が異なっています。あなたは八重山町と国の意見、どちらを支持しますか? 地区ごとに1つの教科書を選択することについてどう思いますか?
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