ソフトバンクは9月30日、東京都内で2013年秋冬モデルの新製品発表会を開催した。
9月20日に新たにNTTドコモからもiPhoneが発売され、これで通信大手3社すべてがiPhoneを取り扱うことになった。2008年にいち早くiPhoneを取り扱い、新しいiPhoneの発売ごとにイベントで「最高の端末だ」とアピールして、日本における「スマホシフト」を進めてきたソフトバンクと孫社長だが、今回のiPhoneに関しては、Appleでの発表会にも顔を見せず、動向が注目されていた。
「もはや(通信会社が)20種類、30種類と競い合って出すよりかは、ネットワークの優劣を競い合う時代になったと言って過言ではない」と切り出し、ネットワークの品質競争におけるソフトバンクの取り組みを紹介。
- スマートフォンの通話接続率が、ドコモ97.8%、au97.6%に対しソフトバンクが98.7%
- 山手線の駅で、29駅中20位で通信速度がトップだった
- 利用者上位1000位までの駅のうち、837駅で通信速度がトップだった
などのデータを紹介しながら、「速度とつながりやすさでナンバーワン」を強調。さらに自社で構築した2.1GHzと、買収したイーモバイルが持つ1.7GHzに加え、来年からは電波が室内や山間部にも届きやすいプラチナバンドにも対応し、「トリプルLTE」となる強みもアピールし、「電波が悪い」というイメージからの脱却を試みている。
iPhoneがドコモから販売されたことによる影響を質問された孫社長は、
「いち早くiPhoneに参入したことでさまざまなノウハウが身についた。だから無事故が850日以上続いているし、ユーザー数を伸ばせた。決してiPhoneに対して情熱を失ったわけではない。現に、3社揃い踏みになっても一番売れているのも、一番スピードが速いのもソフトバンク。ずっと前から、ドコモさんがiPhoneを売った場合にどのくらいの影響があるかシミュレーションしている。4年前に発売されていたら壊滅的な打撃を受けただろう。3年前でも少し和らぐがかなり大変だ。2年前、1年前からだいぶつながりやすさ、速度も改善した。もはやネットワークが不満でユーザーがドコモさんに流れていくというのは、リスクとしてなくなった。むしろ我々のほうがネットワークは一番。実際、(ドコモからも)発売されてみて、“そんなではなかったなあ”ということが確認できた」と語り、自信を見せた。
しかし、孫社長の目はすでにアメリカに向いている。買収したアメリカ3位の通信会社、スプリントの立て直しに今後は注力するという。
「国内はすでにサチュレーション(飽和)している。イーモバイル、ウィルコムを含めるとすでに四千万人でKDDIを上回っている。ここから倍増となると9000万人規模、さすがにそれは難しいだろう。それを目指すと乱売合戦になって利益が出ない。アメリカのスプリントは(2位から)かなり距離のある3位。ちょうどボーダフォンジャパンを買収した時に近い。上積みの余地、伸びしろがあるのはスプリントと考えている。合算して連結で、ソフトバンクは業績を伸ばしていく」
【iPhone関連の記事】