大阪府立支援学校の卒業式で、国歌斉唱の際に起立しなかったことなどを理由に減給処分を受けた教諭が9月24日、府を相手取り、処分の取消と慰謝料200万円を求める訴訟を起こした。MSN産経westでは、以下のように報じている。
訴状などによると、奥野さんは昨春の卒業式で国歌斉唱時に起立せず府教委から戒告処分を受けていたが、今春も同様に起立しなかったところ、前年の不起立も考慮して減給10分の1(1カ月)の懲戒処分を受けた。
(MSN産経west「国歌斉唱不起立 処分不服で府を提訴 大阪地裁」より 2013/09/24)
国歌斉唱について大阪府は、橋下徹大阪市長が府知事だった2011年に、公立校の教職員に君が代の起立斉唱と日の丸掲揚を義務づける条例を制定している。
条例名は「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」。府内の公立小中高校などの学校行事で君が代を斉唱する際、「教職員は起立により斉唱を行うものとする」とした。府立学校など府の施設での日の丸の掲揚も義務化した。
(朝日新聞デジタル「大阪府、君が代条例成立 教職員に起立斉唱義務づけ - 橋下知事の日々」より 2011/06/04)
大阪府は条例制定後、国歌斉唱をしなかった教員に対して戒告処分を複数行っているほか、9月19日には条例の徹底を図るため、すべての教員が歌っているかどうか、口元をチェックするよう通達を出すなど、厳しく取り締まる方針を打ち出している。
大阪府の松井知事は記者団に対し、「教育公務員として規則にのっとった行動を取るのは当然だ。そのチェックは教育委員会の役割であり、しっかりやってもらいたい。起立斉唱を指導する立場の教員が、それをやらなかったら子どもたちが『そういうことが大人の社会で、ルールは破るためにある』と思ってしまう。こういう条例は、本当は無いほうがいいが、それだと指導してもやらない教員が出てしまうことが一番の問題だ」と述べました。
(NHKニュース「君が代斉唱 口元で確認求める通知」より 2013/09/19)
これに対し、教員組合は「人権侵害だ」として抗議。冒頭の訴訟も含めて、教員側と行政側が真っ向から対立する構図となっている。
大阪府立高等学校教職員組合(府高教)は19日、府教育委員会が全府立学校に対し、教職員が入学式や卒業式で国歌を斉唱しているかを管理職が目視で確認するよう通知したことに対し「あってはならない人権侵害だ」と抗議し、撤回を求める要請書を中原徹教育長宛てに提出した。
(西日本新聞「国歌の「口元監視」通知撤回を 大阪府高教組が抗議」より 2013/09/19)
なお9月には、東京都が教職員に国歌斉唱を義務付けられていることが憲法違反かどうか争われた裁判で、最高裁は「違憲ではない」と判断している。
※皆さんは自治体職員に国歌斉唱を義務付けるのに賛成ですか? 反対ですか? ご意見をお聞かせください。
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