シリアをめぐり米ロ外相が平和会議開催で合意した一方、依然軍事行動の可能性を捨てないアメリカ。しかし、アメリカの国内世論は反対論が根強い――。
スイスのジュネーブでシリアの化学兵器問題を協議していたアメリカ・ロシア2カ国は13日、シリアの内戦終結に向け国際平和会議の開催を目指すことで合意した。ロイターが伝えた。
ただアメリカは依然、懐疑的な姿勢を崩しておらず、アメリカのケリー国務長官はこれまでシリアのアサド政権に対する軍事行動の可能性を排除していない。ケリー長官とロシアのラブロフ外相による米ロ外相会談の場には、両国の専門家も同席しており、協議は14日まで継続する見通し。
■ 反政府勢力「アサド政権、非常に疑わしい」
シリアのアサド政権が化学兵器の開発や使用を禁止する化学兵器禁止条約に加盟すると表明したことについて、シリアの反政府勢力の統一組織「シリア国民連合」は13日、声明を出し、「アサド政権は国際社会を欺こうとしており、非常に疑わしい」として懐疑的な見方を示した。
そのうえで、「これまでのアサド政権の行動を振り返れば、化学兵器禁止条約を守るかどうか信用できず、軍事行動の脅威は維持すべきだ」として、軍事行動の可能性を排除すべきではないとの考えを強調した。
■ 国連の潘基文事務総長、化学兵器の使用を断定
国連の潘基文事務総長は13日、シリアの化学兵器に関する国連調査団が近く提出する報告書について「化学兵器が使われたとする、圧倒的な内容の報告書になるだろう」と述べ、使用を断定するとの見通しを示した。
調査団は化学兵器使用の有無だけを調べ、政府側、反体制派のどちらが使ったかは判断しない。しかし国連外交筋は、報告書が試料の詳細な分析結果を示すことでどちらが持つ兵器か事実上特定され、アサド政権による使用であることが示され得るとの見方を示した。
■ シリア政府軍、意図的に病院を攻撃
国連の戦争犯罪調査団は13日、シリア政府軍が意図的に病院をターゲットにしている、とする特別報告書を公表した。戦闘機で野戦病院を攻撃し、病人や負傷者が治療を受けられないようにしている、という。
■ シリア軍事攻撃を先送りさせたのは世論? 圧倒的に反対が多数
オバマ大統領がシリア軍事攻撃を先送りした要因として、世論の反対を考慮したアメリカ議会の慎重論が根強いことが大きい。最新の世論調査でも、軍事攻撃には反対という声が圧倒的だ。
「最新の調査データは、シリア、そしてオバマ大統領のあらゆる側面に信じられないほどの決定的影響を与えている」グレン・グリーンウォルド(イギリス紙「ガーディアン」コラムニスト)
「私が行ったシリア世論調査の結果が出ました。賛成152、反対3,093で、軍事力の使用に圧倒的反対です」ミッシェル・バックマン(アメリカ共和党下院議員)
シリアが化学兵器使用を認め、軍事攻撃が先送りになっても、なお軍事行動の可能性を捨てないアメリカ。シリアの軍事攻撃に賛成か反対か、改めてみなさまのご意見をお寄せください。
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