オリンピック東京プレゼン全文、安倍首相や猪瀬知事は何を話した?(IOC総会・プレゼン内容)

2020年に開催されるオリンピック招致を目指して、9月7日、東京オリンピック招致委員会が、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれたIOC総会で最終プレゼンテーションを行った。東京都の猪瀬直樹知事や、安倍晋三首相などがどのような内容をアピールしたのか。その内容を紹介する。

2020年に開催されるオリンピック・パラリンピック招致を目指して、9月7日、オリンピック東京招致委員会が、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれたIOC総会で最終プレゼンテーションを行った。東京都の猪瀬直樹知事や、現役アスリート・フェンシングの太田雄貴選手、陸上の佐藤真海選手、そして安倍晋三首相などが発表を行った。具体的にどのような内容をアピールしたのか。その内容をJOCの資料とともに紹介する。

高円宮妃久子さま・冒頭ご挨拶

冒頭においてご挨拶に立たれたのは、高円宮妃久子さまであった。流ちょうなフランス語と英語で、東日本大震災の被災地支援への謝意を伝えられた

久子さまは、「日本は2011年に大きな地震と津波を体験しました。このとき、IOCの皆様に示していただいた深い同情に対し、感謝を一生忘れません。IOCは特別の支援プログラムによって多くの子どもたちや若者に希望をもたらしてくれました」と感謝の気持を述べられた。

いっぽう、「皇室は招致活動に関与しない」との前提での出席だったため、東京への投票を呼び掛ける言葉はなかった。

1. 佐藤真海選手(パラリンピアン)

会長そしてIOCの委員の皆様 佐藤 真海です。

私がここにいるのは、スポーツによって救われたからです。スポーツは私に人生で大切な価値を教えてくれ ました。それは、2020 年東京大会が世界に広めようと決意している価値です。

本日は、そのグローバルなビジョンについてご説明いたします。

(メンバー紹介)

招致委員会理事長、竹田恆和。

内閣総理大臣、安倍晋三。

東京都知事、猪瀬直樹。

招致委員会副理事長兼専務理事、水野正人。

招致アンバサダー、滝川クリステル。

そして、過去 2 大会での銀メダリストである太田雄貴選手です。

私自身の話に戻らせていただきたいと思います。

19 歳の時に私の人生は一変しました。私は陸上選手で、水泳もしていました。また、チアリーダーでもありました。そして、初めて足首に痛みを感じてからたった数週間のうちに、骨肉種により足を失ってしまいました。

もちろん、それは過酷なことで、絶望の淵に沈みました。でもそれは大学に戻り、陸上に取り組むまでのことでした。

私は目標を決め、それを越えることに喜びを感じ、新しい自信が生まれました。そして何より、私にとって大切なのは... 私が持っているものであって、 私が失ったものではないということを学びました。 私はアテネと北京のパラリンピック大会に出場しました。スポーツの力に感動させられた私は、恵まれていると感じました。

2012年ロンドン大会も楽しみにしていました。しかし、2011年3月11日、津波が私の故郷の町を襲いました。6日もの間、私は自分の家族がまだ無事でいるかどうかわかりませんでした。そして家族を見つけ出したとき、自分の個人的な幸せなど、国民の深い悲しみとは比べものにもなりませんでした。

私はいろいろな学校からメッセージを集めて故郷に持ち帰り...私自身の経験を人々に話しました。食糧も持って行きました。ほかのアスリートたちも同じことをしました。私達はいっしょになってスポーツ活動を準備し て、自信を取り戻すお手伝いをしました。

そのとき初めて、私はスポーツの真の力を目の当たりにしたのです。

新たな夢と笑顔を育む力。

希望をもたらす力。

人々を結びつける力。

200 人を超えるアスリートたちが、日本そして世界から、被災地におよそ1,000回も足を運びながら50,000人以上の子どもたちをインスパイアしています。

私達が目にしたものは、かつて日本ではみられなかったオリンピックの価値が及ぼす力です。そして、日本が目の当たりにしたのは、これらの貴重な価値...卓越、友情、尊敬...が、言葉以上の大きな力をもつということです。

2. 映像上映 - Feel the pulse

3. 竹田 恆和 (招致委員会理事長)

皆様

あのフィーリング...スポーツだけが与えることができる、全世界を感動させます。

会長、

オリンピック・ムーブメントは 20 年以上も黄金期を謳歌しています。 それは、明確で強固なリーダーシップ、委員の皆様の戦略的な決定、そして、このムーブメントの時間を超えた価値によるものです。

若者たちの新しい世代が恩恵を受けています。そして嬉しいことに、その若者の一人が今ここに来ています。ユースオリンピック競技大会の最初の金メダリスト、トライアスロンの佐藤優香選手。

私達は、1912 年ストックホルム大会に初めて参加して以来、大会に選手団を送り出してきたことを誇りに思っています。そして、日本のアスリートたちがオリンピズムの真の精神のもとで大会に参加してきたことは、なお一層の誇りです。オリンピック・パラリンピック競技大会でドーピング違反をした日本のアスリートは一人もおりません。

それは法令があったからということだけではなく、政府、NOC、国内連盟による、長期にわたる統合されたアプローチによるものです。これらの組織はすべて、私達がアスリートをサポートし...オリンピックの価値の高潔さを守らなくてはいけないということに、同意しています。

オリンピックの価値へのコミットメントは、私達のこの二度目の招致の核心にあります。

皆様方にとって今日、重要なことに焦点を置いた招致...

第一に、オリンピック・ムーブメントの成功を、財政的にもスポーツ的にも一番継続させることができるのはどの都市なのか。

第二に、大会を確実に成功に導くのはどの都市なのか。

そして最後に、スポーツが直面しているこの困難な時代に、一国としての問題を超え、グローバルなビジョン で、オリンピックの価値を推進できるのは、どの都市なのか。

現代ではスポーツそのものが競争状態にさらされており、また、スポーツの信頼性が問題になることも非常に多くなっています。

ドーピング、違法賭博、八百長行為。

日本では、この2年間にスポーツの最高の面を見てきました。それは、我々のグローバルなビジョンにインスピレーションを与え...そして、そのインスピレーションを共有しようという私達の決意をもたらしました。

東京の 有する3つの強さは、全てのオリンピック・ファミリーに恩恵をもたらします。

・Delivery: なぜなら東京は、万全な大会開催、そしてそれ以上を提供します。

・Celebration: なぜなら東京は、かつてないような、すばらしい都心での祝祭を実現します。

・Innovation: なぜなら東京は、世界中のスポーツに恩恵をもたらすため、東京の有する創造性とテクノロジーのすべてを提供するからです。

4. 水野 正人 (招致委員会副理事長/専務理事)

皆様

3つの強さは、1つの言葉で表されます。すなわち、「機会」です。

2020年東京大会は、広大で若いアジア大陸への玄関口となります。

40億人以上の人々が暮らし...その中には10億人以上の若者が含まれます。

事実、この円の外よりも円の中に、より多くの若者が住んでいることが分かります。

東京は、この重要な市場で皆様のスポーツが成長できる7年間を提供します。2020年東京大会では、ゴールデンタイムにテレビの生中継を見る視聴者の規模は、史上最大となります。最大の地元の観戦チケット市場と...商業面での最大限の成功がもたらされます。

我々の招致はすでに21の企業スポンサーを得ています...

また、JOCは記録的なレベルでのスポンサーシップを獲得しています。

日本の経済界が大会を支援し...そして、IOCが確実に、世界中にオリンピズムを推進するという独自の大変重要なプログラムに集中できるようにします。

我々の先駆的な計画は、大都市の中心で大会を開催するモデルを提供します。その出発点は、2016年大会招致の強固な計画でした。IOC、アスリート、IF、NOCのアドバイスを得て、その計画をさらに改善してきました。3つの例をご紹介しましょう。

一つ目は、選手村です。より良いロケーションになり、面積も増えました。そして、全アスリートにベッドを提供します。

二つ目は、新しいオリンピックスタジアム。重要な新しいランドマークとなるでしょう。そして、そこではアスリート全員が開会式を座席で楽しむことができます。

そして三つ目は、さらにコンパクトな会場計画です。フランス語で締めくくりたいと思います。

[フランス語で]

私はこれまでに何度もこのことを申し上げてきましたが、フランス語で述べるのは初めてです。私達はよい部分をそのまま残し、さらなる改善を行ってきました。

最後に、これまでの20年間に培ってきた友情に大きな感動をおぼえるとともに、心から感謝いたします。

本日、その固い友情の名のもとに、皆様から信頼していただけることを願っています。

では、シンクロナイズドスイミングの銅メダリスト、小谷実可子さんの案内で、私達の計画をご覧いただきましょう。

5. 競技会場映像上映 - Venues

6. 猪瀬 直樹(東京都知事/招致委員会会長)

会長、

東京は、ダイナミックでありながら、平和で、信頼のおける、安全で安定した都市です。東京は、世界水準の素晴らしいインフラを有し、それをさらに発展させるため、投資を続けています。そして、若者たちにとっては、世界的なランドマーク(標)である都市です。

私たちは、大会を確実に成功に導くため、宿泊やセキュリティといった、すべての重要な分野において、東京が擁するインフラを提供いたします。

輸送面でも、交通網がすでに整備されており、確実な能力を有しています。この大会が開かれる2020年の東京では、誰もが、常に時間通りに目的地へ到着することができるのです。

そしてまた、私たちは、大会開催によって、都市とスポーツに新しいレガシーをもたらします。45億米ドルもの大会開催準備基金がそれを可能にします。大会が終わった後も、常設のスポーツ施設として残る10の競技会場整備に必要な資金を、すでに保有しているのです。

私たちは、東京という都市の長期的なニーズを満たすために投資をしています。都市の中心で、そして、3,500万人の人々の心の中で、スポーツが新たな重みを持つのです。

選手村は、向こう数十年にはない規模での、東京の都心における最大級の住宅開発となり、大会のレガシーとして残ります。大会後には、文化や教育、スポーツ機能を包含する、国内外の人々に開かれた国際交流プラザが誕生します。東京の長期的な都市戦略にも掲げているとおり、「誰もがスポーツに親しみ、子供たち に夢を与える社会」を創っていきます。

これらの全てを兼ね備えた東京は、日本、東京ならではの歓迎の気持ちで、世界中の皆さんをお迎えしたいのです。滝川クリステルさんが、皆様にもっとお伝えします。

彼女はフランス語で話します。

7. 滝川 クリステル(招致“Cool Tokyo”アンバサダー)

東京は皆様を、ユニークにお迎えします。

日本語ではそれを「おもてなし」という一語で表現できます。それは、見返りを求めないホスピタリティの精神、それは先祖代々受け継がれながら、日本の超現代的な文化にも深く根付いています。

「おもてなし」という言葉は、なぜ日本人が互いに助け合い、お迎えするお客様のことを大切にするかを示しています。ひとつ簡単な例をご紹介しましょう。

もし皆様が東京で何かを失くしたならば、ほぼ確実にそれは戻ってきます。たとえ現金でも。実際に昨年、現金3,000万ドル以上が、落し物として、東京の警察署に届けられました。

世界を旅する75,000人の旅行者を対象として行った最近の調査によると、東京は世界で最も安全な都市です。この調査ではまた、東京は次の項目においても第1位の評価を受けました。

・公共交通機関

・街中の清潔さ そして、タクシーの運転手の親切さにおいてもです。

あらゆる界隈で、これらの資産を目にするでしょう。東洋の伝統的な文化...

そして最高級の西洋的なショッピングやレストランが、世界で最もミシュランの星が多い街にあり...全てが、未来的な都市の景観に組み込まれています。

私が働いているお台場は、史上初の“ダウンタウン”ゲームズを目指す我々のビジョンの中心地でもありま す...それは都心に完全に融合し...文化、生活、スポーツがユニークに一体化します。

ファントレイル...ライブサイト...チケットを必要としないイベントが、共有スペースにおいて、多くの競技会場 を結び、素晴らしい雰囲気を創り出します。来訪者全てに、生涯忘れ得ぬ想い出をお約束します。

8. 映像上映 - Pulse of the city

9. 太田 雄貴(オリンピアン/招致アンバサダー)

想像してみてください...東京という都市のまさに中心で生活することを。

目覚めれば素晴らしい水辺の景色があることを...寝室から見える競技会場で競技することを...すぐ近くには、若者文化の世界的な中心である最もクールな地区。

これが東京でアスリートが期待できることです。

アスリートとして、私達の視点が取り入れられているのを誇りに思います。例えば、選手村は 2020 年東京 大会の中心です...精神においても...地理的にも...

どの国からいらっしゃるアスリートも熱烈なサポートを楽しみにしていただけます。知識が豊富で、アスリートの活躍とフェアプレーを尊ぶ日本のファンから。

昨夏、私達 2012 年ロンドン大会の出場アスリートを祝福するために、平日にも関わらず、50 万人を超える人々が東京の都心に繰り出しました。これらの画をご覧ください...

そして、2020 年でのこの情熱を想像してください。

各会場は満席になるでしょう。

全てのスポーツが光り輝くでしょう。東京は、オリンピック・ムーブメントをプロモーションするための、素晴らしいプラットフォームを確実に開催します。そのプロモーションは日本の若者文化を世界規模にアピールすることと共に進めていきます。

メッシ、カカや内村選手などの実在するスター選手が、アニメのヒーロー達から刺激を受けました。同様に、あらゆる国々から多くの子どもたちを、彼らが好きなスポーツへと導きます。

イノベーションに基づいたプロモーション...

それはたとえば次世代のモーショントラッキングのようなテクノロジーを、スポーツ関連のプレゼンテーションやライブサイト、それ以外の所でも利用している場面を想像してください。

そのすべてが、より多くの若者をスポーツに結びつけます。そして彼らは、私のように、その価値を通して成長することができます...日本で、そして世界中で...安倍首相が説明します。

10. 安倍 晋三首相

委員長、ならびにIOC委員の皆様、

東京で、この今も、そして2020年を迎えても世界有数の安全な都市、東京で大会を開けますならば、それは私どもにとってこのうえない名誉となるでありましょう。

フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません。

さらに申し上げます。ほかの、どんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから、確かな財政措置に至るまで、2020年東京大会は、その確実な実行が、確証されたものとなります。

けれども私は本日、もっとはるかに重要な、あるメッセージを携えてまいりました。

それは、私ども日本人こそは、オリンピック運動を、真に信奉する者たちだということであります。この私にしてからが、ひとつの好例です。

私が大学に入ったのは、1973年、そして始めたのが、アーチェリーでした。一体どうしてだったか、おわかりでしょうか。その前の年、ミュンヘンで、オリンピックの歴史では久方ぶりに、アーチェリーが、オリンピック競技として復活したということがあったのです。つまり私のオリンピックへの愛たるや、そのとき、すでに確固たるものだった。それが、窺えるわけであります。

いまも、こうして目を瞑りますと、1964年東京大会開会式の情景が、まざまざと蘇ります。いっせいに放たれた、何千という鳩。紺碧の空高く、5つのジェット機が描いた五輪の輪。何もかも、わずか10歳だった私の、目を見張らせるものでした。

スポーツこそは、世界をつなぐ。そして万人に、等しい機会を与えるものがスポーツであると、私たちは学びました。オリンピックの遺産とは、建築物ばかりをいうのではない。国家を挙げて推進した、あれこれのプロジェクトのことだけいうのでもなくて、それは、グローバルなビジョンをもつことだ、そして、人間への投資をすることだと、オリンピックの精神は私たちに教えました。

だからこそ、その翌年です。日本は、ボランティアの組織を拵えました。広く、遠くへと、スポーツのメッセージを送り届ける仕事に乗り出したのです。以来、3000 人にも及ぶ日本の若者が、スポーツのインストラクターとして働きます。赴任した先の国は、80を超える数に上ります。働きを通じ、100万を超す人々の、心の琴線に触れたのです。

敬愛する IOC委員の皆様に申し上げます。

2020年に東京を選ぶとは、オリンピック運動の、ひとつの新しい、力強い推進力を選ぶことを意味します。なぜならば、我々が実施しようとしている「スポーツ・フォー・トゥモロー」という新しいプランのもと、日本の若者は、もっとたくさん、世界へ出て行くからです。

学校をつくる手助けをするでしょう。スポーツの道具を、提供するでしょう。体育のカリキュラムを、生み出すお手伝いをすることでしょう。やがて、オリンピックの聖火が 2020年に東京へやってくるころまでには、彼らはスポーツの悦びを、100を超す国々で、1000万になんなんとする人々へ、直接届けているはずなのです。

きょう、東京を選ぶということ。それはオリンピック運動の信奉者を、情熱と、誇りに満ち、強固な信奉者を、選ぶことにほかなりません。スポーツの力によって、世界をより良い場所にせんとするためIOCとともに働くことを、強くこいねがう、そういう国を選ぶことを意味するのです。

みなさんと働く準備が、私たちにはできています。

有難うございました。

11. 映像上映 – Share the pulse

12. 竹田恆和

会長、皆様... 私は、スポーツを通し、教育とインスピレーションを受けてきた人生を経て、今ここに立っております。私が十代の頃、スポーツは私の眼を世界に向けて開いてくれました。私がオリンピアンになった時、世界のまさに最高レベルで競うということを教えてくれたのはスポーツでした...ユニークな精神を持って...、いつまでも色あせない友情を築きました。ここにいらっしゃる多くの方々ともです。

またこの2年間、スポーツが如何に人々を結びつけ、インスパイアするものなのか、幾度となく教えられました。佐藤真海さん達の被災地訪問や、2012 年ロンドン大会で笑顔を見せていたボランティアまで...そして、東京でのアスリート達のパレードに集まった大観衆。

素晴らしいアスリートたち、感動を与えてくれたアスリートのパフォーマンス、そしてオリンピックの価値を実際に目の当たりにすることができた私は、幸運です。とても幸運です。

私のゴール...そして私のチーム全員のゴールは、この困難な時代に、オリンピックの価値に忠実に、できる限り多くの人々に、スポーツのすばらしさを伝えるべく力を尽くすことです。

今回の招致に向けた旅の中で、私はこれらの問題について皆様の多くと話し合ってまいりました。そして、私達が共有している、共に前進したいという願いが、新しい世代のためにスポーツを保護するのだと楽観しています。

会長、そして皆様...

その旅は、ここ、ブエノスアイレスから始まります。これからの数日間は、今後長年にわたるオリンピック・ムーブメントの道筋を定めることとなるでしょう...グローバルなスポーツの恩恵という正当な根拠をもって重要な決断を下す、非常に大きな責任があるのは、そのためです。

本日の私達の立場は、シンプルです。

東京に投票してください。それは、保証された開催への投票です。

東京に投票してください。それはあらゆる意味で素晴らしさを経験できる大会への投票です。

東京に投票してください。それはスポーツに恩恵をもたらすグローバルなビジョンへの投票です。今日から2020年まで、そしてその後何十年にもわたって。

東京は、最適な時期における最適なパートナーなのです。確実に開催できる都市。オリンピックの価値を共有して守る国。オリンピックの貴重な価値を支援するために皆様とともにたゆみなく努力する人々。

本日、私のチームとすべての日本国民を代表し、誇りをもってここにオリンピックを招致いたします。また皆様に、私個人としても次のことをお約束します...2020 年東京大会では大きなレガシーをつくりだすこと...巨大な機会を実現すること...そしてスポーツが...オリンピック・ムーブメントそのものが...最大の勝者となることを。

会長、これで東京のプレゼンテーションを終わります。ありがとうございました。

--以上--

資料:東京 2020 オリンピック・パラリンピック招致委員会

8. 映像上映 - Pulse of the city

9. 太田 雄貴(オリンピアン/招致アンバサダー)

想像してみてください...東京という都市のまさに中心で生活することを。

目覚めれば素晴らしい水辺の景色があることを...寝室から見える競技会場で競技することを...すぐ近くには、若者文化の世界的な中心である最もクールな地区。

これが東京でアスリートが期待できることです。

アスリートとして、私達の視点が取り入れられているのを誇りに思います。例えば、選手村は 2020 年東京 大会の中心です...精神においても...地理的にも... どの国からいらっしゃるアスリートも熱烈なサポートを楽しみにしていただけます。知識が豊富で、アスリートの活躍とフェアプレーを尊ぶ日本のファンから。

昨夏、私達 2012 年ロンドン大会の出場アスリートを祝福するために、平日にも関わらず、50 万人を超える人々が東京の都心に繰り出しました。これらの画をご覧ください... そして、2020 年でのこの情熱を想像してください。

各会場は満席になるでしょう。

全てのスポーツが光り輝くでしょう。東京は、オリンピック・ムーブメントをプロモーションするための、素晴らしいプラットフォームを確実に開催します。そのプロモーションは日本の若者文化を世界規模にアピールすることと共に進めていきます。

メッシ、カカや内村選手などの実在するスター選手が、アニメのヒーロー達から刺激を受けました。同様に、あらゆる国々から多くの子どもたちを、彼らが好きなスポーツへと導きます。

イノベーションに基づいたプロモーション... それはたとえば次世代のモーショントラッキングのようなテクノロジーを、スポーツ関連のプレゼンテーションやライブサイト、それ以外の所でも利用している場面を想像してください。

そのすべてが、より多くの若者をスポーツに結びつけます。そして彼らは、私のように、その価値を通して成長することができます...日本で、そして世界中で...安倍首相が説明します。

10. 安倍 晋三首相

委員長、ならびにIOC委員の皆様、東京で、この今も、そして2020年を迎えても世界有数の安全な都市、東京で大会を開けますならば、それは私どもにとってこのうえない名誉となるでありましょう。

フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません。

さらに申し上げます。ほかの、どんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから、確かな財政措置に至るまで、2020年東京大会は、その確実な実行が、確証されたものとなります。

けれども私は本日、もっとはるかに重要な、あるメッセージを携えてまいりました。 それは、私ども日本人こそは、オリンピック運動を、真に信奉する者たちだということであります。この私にしてからが、ひとつの好例です。

私が大学に入ったのは、1973年、そして始めたのが、アーチェリーでした。一体どうしてだったか、おわかりでしょうか。その前の年、ミュンヘンで、オリンピックの歴史では久方ぶりに、アーチェリーが、オリンピック競技として復活したということがあったのです。つまり私のオリンピックへの愛たるや、そのとき、すでに確固たるものだった。それが、窺えるわけであります。

いまも、こうして目を瞑りますと、1964年東京大会開会式の情景が、まざまざと蘇ります。いっせいに放たれた、何千という鳩。紺碧の空高く、5つのジェット機が描いた五輪の輪。何もかも、わずか10歳だった私の、目を見張らせるものでした。

スポーツこそは、世界をつなぐ。そして万人に、等しい機会を与えるものがスポーツであると、私たちは学びました。オリンピックの遺産とは、建築物ばかりをいうのではない。国家を挙げて推進した、あれこれのプロジェクトのことだけいうのでもなくて、それは、グローバルなビジョンをもつことだ、そして、人間への投資をすることだと、オリンピックの精神は私たちに教えました。

だからこそ、その翌年です。日本は、ボランティアの組織を拵えました。広く、遠くへと、スポーツのメッセージを送り届ける仕事に乗り出したのです。以来、3000人にも及ぶ日本の若者が、スポーツのインストラクターとして働きます。赴任した先の国は、80を超える数に上ります。働きを通じ、100万を超す人々の、心の琴線に触れたのです。

敬愛するIOC委員の皆様に申し上げます。

2020年に東京を選ぶとは、オリンピック運動の、ひとつの新しい、力強い推進力を選ぶことを意味します。なぜならば、我々が実施しようとしている「スポーツ・フォー・トゥモロー」という新しいプランのもと、日本の若者は、もっとたくさん、世界へ出て行くからです。

学校をつくる手助けをするでしょう。スポーツの道具を、提供するでしょう。体育のカリキュラムを、生み出すお手伝いをすることでしょう。やがて、オリンピックの聖火が2020年に東京へやってくるころまでには、彼らはスポーツの悦びを、100を超す国々で、1000万になんなんとする人々へ、直接届けているはずなのです。 きょう、東京を選ぶということ。それはオリンピック運動の信奉者を、情熱と、誇りに満ち、強固な信奉者を、選ぶことにほかなりません。スポーツの力によって、世界をより良い場所にせんとするためIOCとともに働くことを、強くこいねがう、そういう国を選ぶことを意味するのです。

みなさんと働く準備が、私たちにはできています。

有難うございました。

11. 映像上映 – Share the pulse

12. 竹田恆和

会長、皆様... 私は、スポーツを通し、教育とインスピレーションを受けてきた人生を経て、今ここに立っております。私が十代の頃、スポーツは私の眼を世界に向けて開いてくれました。私がオリンピアンになった時、世界のまさに最高レベルで競うということを教えてくれたのはスポーツでした...ユニークな精神を持って...、いつまでも色あせない友情を築きました。ここにいらっしゃる多くの方々ともです。

またこの2年間、スポーツが如何に人々を結びつけ、インスパイアするものなのか、幾度となく教えられました。佐藤真海さん達の被災地訪問や、2012年ロンドン大会で笑顔を見せていたボランティアまで...そして、東京でのアスリート達のパレードに集まった大観衆。

素晴らしいアスリートたち、感動を与えてくれたアスリートのパフォーマンス、そしてオリンピックの価値を実際に目の当たりにすることができた私は、幸運です。とても幸運です。

私のゴール...そして私のチーム全員のゴールは、この困難な時代に、オリンピックの価値に忠実に、できる限り多くの人々に、スポーツのすばらしさを伝えるべく力を尽くすことです。

今回の招致に向けた旅の中で、私はこれらの問題について皆様の多くと話し合ってまいりました。そして、私達が共有している、共に前進したいという願いが、新しい世代のためにスポーツを保護するのだと楽観しています。

会長、そして皆様... その旅は、ここ、ブエノスアイレスから始まります。これからの数日間は、今後長年にわたるオリンピック・ムーブメントの道筋を定めることとなるでしょう...グローバルなスポーツの恩恵という正当な根拠をもって重要な決断を下す、非常に大きな責任があるのは、そのためです。

本日の私達の立場は、シンプルです。 東京に投票してください。それは、保証された開催への投票です。

東京に投票してください。それはあらゆる意味で素晴らしさを経験できる大会への投票です。

東京に投票してください。それはスポーツに恩恵をもたらすグローバルなビジョンへの投票です。今日から2020年まで、そしてその後何十年にもわたって。

東京は、最適な時期における最適なパートナーなのです。確実に開催できる都市。オリンピックの価値を共有して守る国。オリンピックの貴重な価値を支援するために皆様とともにたゆみなく努力する人々。

本日、私のチームとすべての日本国民を代表し、誇りをもってここにオリンピックを招致いたします。また皆様に、私個人としても次のことをお約束します...2020年東京大会では大きなレガシーをつくりだすこと...巨大な機会を実現すること...そしてスポーツが...オリンピック・ムーブメントそのものが...最大の勝者となることを。

会長、これで東京のプレゼンテーションを終わります。ありがとうございました。

--以上--

資料:東京 2020 オリンピック・パラリンピック招致委員会

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