2020年のオリンピック開催地がいよいよ発表される。東京優勢と見られていたが、ここにきて勢いをやや失い、マドリードに勢いが出てきているという見方もある。しかし、逆に今マドリードが失速しているという報道も出てきている。マドリード優勢は変わらないのか。その動きを紹介する。
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■マドリード優勢報道の例
NHKニュースは、マドリード優勢とする現地の声を報じている。オリンピックを専門に取材するインターネットメディアの記者は「東京は福島第一原子力発電所の汚染水問題を抱えているが、各都市ともに課題があるなかで厳しいといわれるマドリードの経済問題が一番リスクが少ないと受け止められているようだ」と話している。
また、アメリカの通信社の記者は「東京とマドリードの争いだと感じるが、このところマドリードの話をよく聞く。東京は原発の汚染水の問題とセットで話題に上ることが多いように思う」と話しているという。
9月4日付のスペイン紙エルムンドは、マドリードがIOC委員の半分以上に当たる50人(投票権を持たない委員を除く)からの支持を得たと報じた。この中には、IOC会長に立候補すると言われているセルゲイ・ブブカ委員の名前もある。
■スペイン失速との報道の例
アルジャジーラは、エルムンド誌がマドリードに投票するとした何人かの委員の名前を、写真付きで報じたことで、投票直前の9月7日土曜日の動きが弱まっていると報じている。2005年に、フランス紙のル・パリジャンが似たようなことを行ったが、結果はロンドンの勝利となった。エルムンドの動きを「lead balloon(鉛の風船:大失敗)」と話すIOCメンバーもいるという。
IOCの委員がリークを嫌うのは、過去の例があるからということだけが原因ではなさそうだ。朝日新聞GLOBEは、現在繰り広げられている2020年オリンピック招致合戦には、他の2つの“選挙”の思惑も複雑に絡み合っていると報じている。
他の2つの選挙とは、2020年のオリンピックで実施される競技、そして、ICOの会長選挙である。それぞれの選挙に対する戦略と各委員の思惑の例を、次のように紹介している。
会長選で本命視されるドイツのトーマス・バッハ(59)が当選したら、2024年の夏季五輪を欧州に持って来たがるだろう。その場合、20年は欧州から遠い都市を選びたいに違いない。だから、東京は招致を実現するために、バッハと手を結べるのではないか?
(朝日新聞GLOBE「三つの思惑が絡み合うパワーゲーム」より。 2013/08/04)
■東京2020招致委員会の動き
いっぽう、MSN産経ニュースは、東京招致委員会の動きを次のように報じている。
東京の招致幹部は5日夜、「1回目の投票が2位でも、僅差でマドリードに食いつければ、決選投票を制すことはできる」と分析。IOC委員が宿泊するブエノスアイレス市内のホテルでは、日本人唯一のIOC委員である東京招致委の竹田恒和理事長らが、東京に好意的な委員を中心に「支持」を粘り強く働きかけている。
(MSN産経ニュース「失点少なくマドリードが“風”を受けてIOC総会へ 東京は決選投票狙い」 2013/9/6 23:37)
猪瀬直樹東京都知事は、6日ブエノスアイレスで開かれた記者会見で、原発の汚染水漏れ問題に関して「政府が責任を持つことを短期間で示した」と強調した。「風評がメディアを覆っている」と指摘した上で「都内の大気中の放射線量などは英語で公表している。フェアな情報をきちんと提供すれば、ほとんどの問題は解決する」「日常的に放射線量も公開しているが、ニューヨークとロンドンと数値に全く変わりがない。こちらもフェアな情報をきちんと提供する。そうすればほとんどの問題は解決する」と訴えた。
「招致の流れは東京に確実に引き寄せられていると実感している」と手応えを口にした猪瀬知事。開催地の発表は日本時間9月8日早朝。どの都市に決定されるのか、注目が集まる。
【発表までのスケジュール(日本時間)】
■9月7日(土)
・20時45分〜 IOC会長挨拶
・21時〜10時10分 イスタンブール プレゼンテーション及び質疑応答
・22時25分〜 イスタンブール 記者会見
・22時30分〜23時40分 東京 プレゼンテーションおよび質疑応答
・23時55分〜 東京 記者会見
■9月8日(日)
・深夜0時〜1時10分 マドリード プレゼンテーションおよび質疑応答
・1時25分〜 マドリード 記者会見
・3時45分〜 投票
・5時〜 2020年オリンピック開催地発表
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