今年、世界遺産登録された富士山。環境省の調査によると、世界遺産効果なのか、7月1日〜21日の3週間の登山者数は79,057人で、昨年の同期間と比較しておよそ2万人増加した。日本中が富士山に湧いている中、富士山からおよそ130キロ離れた群馬県桐生市相生町にある上毛電鉄の「富士山下(ふじやました)駅」では、9月1日から富士山世界文化遺産登録記念の入場券を発売を開始した。朝日新聞デジタルが報じている。
この「富士山下駅」は外国人観光客が、その駅名から富士山の最寄り駅と勘違いして来てしまう駅としてメディアでも取り上げられている。上毛電鉄もHPで、以下のように注意を喚起しているほどだ。
この度、世界文化遺産への正式登録が確実となった山梨県の「富士山(ふじさん)」。今後更なる「富士山」への観光客が増えることが予想されますが、弊社の「富士山下(ふじやました)」駅から富士山に行けると間違えて訪れる外国人観光客が現在、年に何人かおります。ぜひこの機会に、誤乗車されないようPRしていきたいと思います。
駅からは徒歩1分の場所には駅名の由来ともなった標高およそ160メートルの「富士山(ふじやま)」がある。実はこの山は富士山と全く縁のないものというわけでもないのだ。古代より崇高な山であった富士山は、室町時代から庶民の間でも信仰登山が行われるようになっていた。しかし、庶民にとって時間も費用もかかる富士山への登山はあまり手の出せるものではなかったため、お金を集め代表を選び皆の祈願を託す「講」という仕組みを利用するようになった。そしてこの「富士講」は江戸時代には爆発的な興隆をみせ、関東・中部をはじめ全国に広がり、各地に浅間神社が祀られたという。また、富士山へ登ってお参りをしたのと同じご利益があるとして「富士塚」という富士山の形をした小さな山が各地に盛んにつくられた。
「富士山下駅」の「富士山(ふじやま)」の山頂にも富士信仰を伝える浅間神社があり、烏帽子岩(えぼしいわ)、小御嶽石尊大権現(おみたけせきそんだいごんげん)など富士山のスケールを小さくしたような場所になっており、古くから続く富士信仰の歴史を垣間見ることができる。
上毛電鉄では、記念入場券の発売の他に、富士信仰の歴史を感じることができる「富士山(ふじやま)」に登ってもらおうと、山頂の祠と一緒に記念撮影をすると上毛電鉄のホームページに写真を掲載するというキャンペーンを行っている。投稿者には特典として「群馬の富士山登頂認定証」をプレゼントする。応募は先着50人で、掲載は9月1日から10月31日まで。記念入場券は1日からインターネットや西桐生、赤城両駅などで販売され。大人と小児の入場券と絵はがきのセットで350円だ。
世界遺産に登録された富士山に一度は登ってみたいけど、体力に自信の無い人は、10分で登頂可能な「群馬の富士山」に登ってみてもいいかもしれない。
関連記事