「安倍晋三首相は予定通りの消費増税実施を判断すると確信している」と、自民党の大島理森・前副総裁がロイター社のインタビューで述べた。
自民党の大島理森・前副総裁は30日、ロイターのインタビューに応じ、来年4月に3%の引き上げが予定される消費増税について、安倍晋三首相は予定通りの実施を判断すると確信していると述べた。
増税による経済の下押しを緩和するための補正予算の必要性については、一時的に経済が下押しされてもまた戻るとし、その時の経済状況で考えればよいと語った。
大島氏は「総理は明確にしっかりとした結論を出してくれると確信している」とし、14年4月の3%上げについて「総理はそう判断すると信じている」と述べた。「社会保障制度の持続可能性を確保し、未来への安心を作ることが政治の責務だ。そのためにやる」とも語り、あらためて、社会保障制度の持続可能性を担保するための措置であることを強調した。
安倍政権の経済政策の第一の矢となった黒田東彦日銀総裁の異次元緩和は景気回復の好循環を作り出した。「クロダノミクスの前提は、(法律で定められた)日本の財政再建の手順にある。しかも10年前に通った話(法律)ではない」と述べ、緩和効果を維持し、財政ファイナンスとの不信を惹起させないためにも予定通り実施すべきとの認識を示した。
同時に大島氏は「先延ばししたとなったら、国債マーケットがどう反応するか」と市場の反応を警戒。「いつになったらやれるのか」との不信を助長しかねないと警告した。
昨年8月に成立した消費増税法では2014年4月に3%、15年10月に2%の消費税率引き上げを決めているが、それぞれ施行の半年前にその時の政権が最終判断することが規定されている。同時に付則で経済状況に配慮するいわゆる「景気弾力条項」が盛り込まれ、これに基づき、安倍首相はさまざまな経済指標を考慮し10月上旬までに14年の3%引き上げの是非について最終判断する。政府は今月26日から、60人の有識者による「集中点検会合」を開き、増税の是非や激変緩和措置の具体策などについてヒアリングを続けている。これまでのところ大勢は予定通り実施すべきとの意見だが、逆進性対策や増税による悪影響を回避するため、財政出動や投資減税、所得減税など激変緩和措置を求める声が相次いでいる。
大島氏は「逆進性をどうするかということは、実際に実行する場合には考えなければならない」とした。他方で補正予算の是非については「(消費税を)上げれば、(成長率は)若干下がる。しかし、また戻る。その時の経済状況で考えればよい」と述べ時期尚早との認識を示した。
党内で予定通りの消費増税に反対意見があるのかとの質問には「党内であらためてヒアリングする必要は全くない」と語った。
(吉川裕子)
[東京 30日 ロイター]
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