「アメリカのシリアへの軍事介入は、広島・長崎への原爆と同じか」記者がハーフ副報道官に質問

アメリカのシリアへの軍事介入は、広島・長崎への原爆と同じか。ロイター通信の記者が8月28日、国務省の定例記者会見で、シリアへのアメリカの軍事介入の正当性について、アメリカによる広島、長崎への原爆投下の例を挙げて追求した。

アメリカのシリアへの軍事介入は、広島・長崎への原爆と同じか−−。

ロイター通信の記者が8月28日、国務省の定例記者会見で、シリアへのアメリカの軍事介入の正当性について、アメリカによる広島、長崎への原爆投下の例を挙げて追求した。記者は報道官に対し、「アメリカが核兵器を使用し、広島、長崎で大量の市民を無差別に殺害したことは、あなたの言う同じ国際法への違反だったのか」と質問したとMSN産経ニュースは報じている。

アメリカはシリアに対して、軍事介入を取る動きを強めている。内戦状態にあるシリアにおいて、数百人が死亡したとされる化学兵器の使用疑惑について、オバマ大統領は28日「アサド政権が実行したと結論付けた」と明言。「国際社会による対応」が必要で、責任を問わなければならないと強調している。

しかし、この軍事介入については、正当性があるのかという点を問題視する声もある。国際政治学者イアン・ブレマー氏は「米国がシリアに軍事介入する本当の理由」と題したロイターのコラムで、「米国が本当に守ろうとしているのはシリア国民ではなく、化学兵器使用を禁じる国際基準と、そして何よりも自国の威信だ」と指摘している。オバマ大統領はこれまで、シリアでの化学兵器使用は「レッドライン(越えてはならない一線)」だと明言していたが、実際に行われたことで面子を潰された状態になっている。

アメリカ国務省のマリー・ハーフ副報道官は28日、記者会見において、一般人に対する化学兵器の無差別の使用は、国際法違反と強く避難。しかし、具体的にどの国際法に違反するのかとの質問に対しては、明確な回答はなかった。

ハーフ副報道官は、アサド大統領自身が化学兵器の使用を命令したのかどうかは分からないとした上で、アサド大統領の意に反して化学兵器が使われた場合でも、責任はアサド大統領にあると述べた。また、「重要なのは、化学兵器の使用は見過ごせないという強いメッセージを送ることだ」と述べ、国連安保理で決議案が採択されない場合でも、アサド政権に対して軍事行動も辞さない考えを強調した

このハーフ副報道官の一連の記者会見の中で、ロイターの記者、Arshad Mohammed氏は、「アメリカが核兵器を使用し、広島、長崎で大量の市民を無差別に殺害したことは、あなたの言う同じ国際法への違反だったのか」と質問した。しかしこの質問は受け入れられないとの一言で終わった。

なお、他にも、政府高官が疑問を呈する国もある。イギリスでは29日、議会が軍事介入に反対との結論を出した。スペインやイタリアは国内事情で手一杯のようだ。また、チュニジアは、軍事介入について議論を行っている国々がシリアから遠いことを指して皮肉っている。

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