飲料メーカーのカルピスが持っていた『ほっとレモン』という商標が認められるかどうかを争った裁判で、知的財産高等裁判所は8月28日、「商標としては認められない」という判決を言い渡した。NHKニュースが報じた。
登録商標とは、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)で、商標法の定めに従って特許庁に登録される。商標登録を受けないまま商標を使用している場合、先に他社が同じような商標の登録を受けていれば、その他社の商標権の侵害にあたる可能性がある。しかし、単に商品の産地、販売地、品質のみを表示する言葉は、商標として登録することはできない。例えば、“北海道”という名前の商品を、商標として登録することはできないようになっている。
今回裁判となった『ほっとレモン』についても、平仮名の「ほっと」には、安心感を暗示させる「ほっと」という意味もあるが、ホット飲料の「ホット(HOT)」をかけているとも捉えることができる。そのため、『サントリー とろ〜りホットレモン』という商品を発売するサントリーホールディングス株式会社、『キリン ホットレモン』という商品を持つキリンホールディングス株式会社は、2011年10月に、異議申立を行っていた。
なお、異議申立ての際に提出されたThe Archive of Softdrinksというホームページの記録には、1991年から2000年頃におけるのホットレモン商品が掲載されており、「ほっとレモン」の文字が飲料業界において多数使われていることがわかる。
飯村敏明裁判長は「このことばは『レモン風味の味付けをした温かい飲み物』などの意味で、原材料を普通に用いた名前だ。似たような飲み物は他社も販売していてこの会社だけの商品という認識を持つこともできず、商標としては認められない」と判決を言い渡したという。
なお、カルピスは『ほっとレモン』のほか、『ほっとカルピス』や『ほっとしょうが』なども販売している。
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