世界遺産抹消の原因、ドイツ・エルベ渓谷の「景観損ねる橋」開通

ドイツ東部ドレスデンのエルベ渓谷が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産リストから抹消される原因となったエルベ川に架かるワルトシュレスヘン橋の供用が26日、始まった。

ドイツ東部ドレスデンのエルベ渓谷が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産リストから抹消される原因となったエルベ川に架かるワルトシュレスヘン橋の供用が26日、始まった。時事通信が伝えた。

AFPによると、ワルトシュレスヘン橋はドレスデン旧市街の交通緩和を目的に建設された。エルベ川に架かる橋としては最も長い全長635メートルで、コンクリートと鋼鉄でできた4車線の橋だ。

エルベ渓谷のあるドレスデンはザクセン州の州都で、市内を貫く渓谷はエルベ川流域に18km続いている。ザクセン選帝侯国の首都であった時代は「ドイツのフィレンツェ」と呼ばれたほど美しい都市であり、18~19世紀の建造物などが今も残っている。19世紀末の鉄橋、ケーブルカー、蒸気観光船、造船所などは今も使用されており、教会や公園も時代を偲ばせる。都市に溶け込んだ渓谷などの自然、産業革命以降の産業遺産、建造物などの価値が評価され、2004年に世界遺産(文化遺産)に登録された。

しかし、エルベ渓谷にかかる橋の建設が計画され、実行されると景観が損なわれると判断したユネスコの世界遺産委員会は、2006年に危機遺産リストに登録した。そして、橋の建設が始まったため、2009年に世界遺産リストから削除された

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