イプシロンロケット午後打ち上げ JAXA「成功は絶対に間違いない」

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月27日午後1時45分、新たに開発した小型固体燃料ロケット「イプシロン」1号機を、鹿児島県・内之浦宇宙空間観測所から打ち上げる。1号機には惑星分光観測衛星「スプリントA」を搭載。打ち上げから約1時間後に予定の軌道に投入する。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、12年ぶりに開発した国産新型ロケット「イプシロン」1号機を、8月27日午後1時45分に鹿児島県・内之浦宇宙空間観測所から打ち上げる。1号機には惑星分光観測衛星「スプリントA」を搭載。打ち上げから約1時間後に予定の軌道に投入する予定。時事通信が伝えた。

1号機には惑星分光観測衛星「スプリントA」を搭載。打ち上げから約1時間後に予定の軌道に投入する予定だった。時事通信が伝えた。

初号機の打ち上げを27日午後に控え、鹿児島県肝付(きもつき)町のJAXA内之浦宇宙空間観測所では26日、機体点検などの最終準備作業が行われた。

開発責任者の森田泰弘教授は会見で「準備は問題なく進んでいる。成功は絶対に間違いなく、自信を持って臨みたい」と強調した

イプシロンは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発を進める固体燃料の小型ロケットの名称。2007年に次期固体ロケットプロジェクトとして承認された。ラムダロケット、ミューロケットなど国産ロケット技術の継承を象徴するギリシャ文字のEの読みなどにちなみ、イプシロンと命名された。「宇宙への敷居を下げる」をスローガンに、シンプルかつコンパクトなロケットとして、小型衛星を安価・高頻度・タイムリーに開発・運用することを目指す。

これまでJAXAはその前身である、ISAS(宇宙科学研究所)が運用していた中型の固体燃料ロケットM-V(ミュー・ファイブ)と、NASDA(宇宙開発事業団)から引き継いだ大型の液体燃料ロケットH-IIAの2系列のロケットを運用していた。

しかし、M-Vロケットは衛星打ち上げのための実用機ではなく、ロケットの実験・研究を主目的として開発されていたため、仕様が量産には適さず、打ち上げコストが1回75億円にも上るなど、経済性・運用性・即応性に大きな課題を抱えていた。このため、M-VロケットはJAXA移管後、06年の7、8号機打ち上げまでで廃止になった。

H-IIAロケットは、大型であるため低高度ならば10トンの衛星を軌道上に投入できるが、商用化が進み三菱重工業に移管して打ち上げ費用が半減した現在でも1回100億円程度になる。そこで、人工衛星の軌道投入などのミッションに最適化した小型ロケットとしてイプシロンが登場した。

イプシロンの打ち上げ能力は最大1.2トン(地球周回低軌道の場合。オプション形態の太陽同期軌道では450キログラム)程度で、中型の衛星まで軌道投入でき、将来的には1回の打ち上げ費用は30億円以下に抑えられる見通しだ。また、毎月あるいは毎週というような高頻度で中・小型の人口衛星を軌道投入することができれば、衛星を運用する各種団体のタイムリーな需要に応えることが可能になる

イプシロンの機体は、組み立てが行われた建物の中にあり、午前11時前に姿を現す予定

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