政府は消費税率を現行の5%から8%に引き上げたときの影響を検証するため、8月26日から31日の6日間にわたり、有識者60人に意見を聞く『集中点検会合』を開く。予定通り5%に上げるのか、1%ずつにするのか、それとも、全てを先送りするのか、「経済・金融」や「国民生活・社会保障」などの5つのテーマに基づき、多方面から意見を聞いた上で判断する予定だ。
消費税率を予定通り来年4月に現在の5%から8%に引き上げるかどうかを判断するため、政府は26日から有識者や専門家に経済財政運営の留意点や望ましい対応策を聞く「今後の経済財政動向等についての集中点検会合」を開催する。
「経済・金融」や「国民生活・社会保障」など五つのテーマを設定し、31日まで6日連続で合計7回の会合を予定している。
政府側の出席者は麻生太郎財務相、甘利明経済財政担当相、黒田東彦日銀総裁と経済財政諮問会議の有識者議員。有識者・専門家側はテーマごとに総勢60人が参加する。26日は「総論」をテーマとし、岩田一政日本経済研究センター理事長、米倉弘昌経団連会長、古賀伸明連合会長などが出席し、意見を表明する。
会合では、消費増税をした場合の経済への影響や対策、逆に予定通りの増税を見送った場合の国債市場などへの影響や財政再建への道筋などが議論のポイントとなる。
政府は自民、民主、公明の3党合意に基づいて昨年成立した消費増税法にもとづいて、現在5%の消費税率を2014年4月から8%に、2015年10月から10%に引き上げる予定。ただ、増税による経済活動への悪影響がデフレ脱却への動きを後退させるおそれがあることから、法案通りに引き上げるか、慎重に判断する構えだ。
一方で、財政再建への道筋を明確に示す必要もある。すでに政府は基礎的財政収支の対GDP比での赤字幅を2015年度までに2010年度の半分にするとの目標を掲げ、国際公約としているが、予定通り消費税率を引き上げないと、目標達成は難しくなる。
安倍首相は、有識者会合での議論や9月9日に発表される4─6月GDP改定値などの指標も踏まえ、10月に予定される秋の臨時国会開会までに消費増税について最終判断する。共同通信によると、甘利経済財政相は25日、首相が消費増税を判断する時期について、10月7日からインドネシアで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の前になるとの見通しを示している。
テーマ別に参加する主な有識者・専門家は以下の通り。
●26日17時─19時:総論
岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)、社会学者の古市憲寿氏、米倉弘昌・日本経団連会長(住友化学会長)ら7人。
●27日17時半─19時半:経済・金融1回目
伊藤隆敏・東大大学院教授、稲野和利・日本証券業協会会長、浜田宏一内閣官房参与(米エール大名誉教授)ら9人。
●28日9時─10時半:国民生活・社会保障1回目
井伊雅子・一橋大大学院教授、吉川萬里子・全国消費生活相談員協会理事長ら8人。
●28日10時45分─12時45分:産業
岡村正・日本商工会議所会頭(東芝相談役)、清水信次・日本チェーンストア協会会長(ライフコーポレーション会長兼CEO)、豊田章男・日本自動車工業会会長(トヨタ自動車社長)ら9人。
●29日15時─17時:地方・地域経済
立谷秀清・福島県相馬市長、谷正明・地銀協会長(福岡銀頭取)、萬歳章・全国農業協同組合中央会会長、古川康・佐賀県知事ら9人。
●30日15時─17時:国民生活・社会保障2回目
白石興二郎・日本新聞協会会長(読売新聞グループ本社社長)、清家篤・慶應義塾長(社会保障制度改革国民会議会長)、林文子横浜市長ら9人。
●31日15時半─17時半:経済・金融2回目
植田和男・東大大学院教授、國部毅・全銀協会長(三井住友銀頭取)、本田悦朗内閣官房参与(静岡県立大教授)ら9人。
(石田仁志)
[東京 26日 ロイター]
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