フランスのファビウス外相は8月22日、シリアでアサド政権側が化学兵器を使用したと反体制派が主張していることについて、「正しいと確認されれば、(政権側に対して)武力を伴う行動を取るべきだ」と述べた。フランスのテレビの取材に答えたと時事通信が伝えている。
外相はBFMテレビに対し、「国際社会はシリアに武力で対応することが必要となるだろう。現場に軍隊を送る必要性については疑問の余地はない」と述べた。
【閲覧注意:上記動画に、多数の遺体を写した場面があります】
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■ アメリカはシリア軍使用と暫定評価 オバマ大統領は軍事介入に慎重
共同通信によると、ロイター通信は8月23日、シリアの首都ダマスカス近郊で化学兵器攻撃により市民多数が死亡したとされる疑惑をめぐり、アメリカや同盟国の情報当局が、シリア政府軍が化学兵器を使用したとの暫定評価を下したと報じた。アメリカやヨーロッパの治安筋の話としている。
情報当局は攻撃がアサド政権の「高いレベルの承認」を得て実行されたとみている。ただ暫定評価がどのような根拠に基づいているかは伝えていない。同筋は、確証を得るには時間を要する可能性があると指摘した。
アメリカのオバマ大統領は、内戦が続くシリアでの化学兵器使用疑惑をめぐり、国際社会は一段の情報を入手する必要があるとし、アサド政権は調査に対し全面的に応じるべきと言明した。
オバマ大統領は、23日に放送されたCNNテレビのインタビューで、「明らかに深刻な懸念を抱かせる重大な出来事だ」と述べ、強い懸念を示した。そのうえで真相を解明するため、シリア政府に対し、すでにシリア国内に入っている国連の調査団による現地調査を認めるよう求めるとともに、アメリカ政府としても情報収集を急ぐ考えを示した。
ただ、シリアへの軍事介入については「アメリカが明確な証拠なしに他国を攻撃すれば、国際法の観点から疑問が生じる」と述べ、慎重な姿勢を示した。
■ 国連パン・ギムン事務総長「国連による現地調査に応じよ」
NHKによると、国連のパン・ギムン事務総長は、シリア政府に対して、国連による現地調査に全面的に応じるよう求めた。
パン事務総長は韓国・ソウルで行った講演で、「化学兵器が使用された可能性があるという報告を受けて大変憂慮している。化学兵器の使用は、どのような事情であれ、国際法違反だ」と指摘した。パン事務総長は、最大限、調査に協力するよう求めるため、新たに軍縮担当の高官をシリアに派遣することにしている。
■ シリア子ども難民、100万人に
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と国連児童基金(ユニセフ)は23日、内戦が続くシリアから近隣国に逃れた18歳以下の難民数が100万人となり、「恥ずべき節目に達した」との声明を発表した。
時事通信によると、18歳以下の難民は全体の約半数を占め、このうちほぼ4分の3が10歳以下という。多くがレバノン、ヨルダン、トルコ、イラク、エジプトなどに脱出したが、現在も推計200万人の子どもがシリア国内の別の場所に避難したままという。また人権高等弁務官事務所(OHCHR)によると、2011年に始まった戦闘でおよそ7000人の子どもが殺害された。
ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は、次のように語っている。
「難民になってしまった100万人もの子どもたち。これは、単なる数字ではありません。その一人ひとりが、この世に生きている子どもたちなのです。それぞれの子どもたちが、家を失い、中には家族とも引き裂かれ、私たちが、まだその片鱗しか知らない恐ろしい出来事に直面しているのです」「私たちは、このような恥ずべき状況を生んだ責任を負わなければいけません。国際社会は、紛争に巻き込まれた人々の苦難を取り除くための支援をしてきました。しかし、子どもたちへの責務は果たせていないのです。一旦立ち止まり、良心を顧みて、自らに問わなければなりません。私たちは、シリアの子どもたちが絶望的な状況に追い込まれることを、いつまで放置し続けるのかということを」
(日本ユニセフ協会「シリア緊急募金 第58報 難民となった子どもたち、100万人を超える」より)
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