中国共産党で最高指導部入り確実とされていた大物政治家が、妻とともに「死刑」判決を受ける可能性も。中国では「世紀の裁判」とも言われる裁判が、中国の山東省済南市中級人民法院(地裁)で始まった。
被告の名前は薄熙来(はく・きらい)。元重慶市トップとして絶大な権力を誇っていたが、2012年2月に起こった側近によるアメリカ総領事館への亡命未遂事件を発端として、薄被告の妻によるイギリス人実業家殺害容疑、不正蓄財、マフィア撲滅運動での権力乱用、女性との不適切な交際などのスキャンダルが次々と暴かれ、失脚した。
今回の裁判では収賄や横領、職権乱用の罪で起訴されている。
また、共産党指導部の政治局員クラスの裁判が開かれるのは、2008年に懲役18年が確定した陳良宇(ちん・りょうう)元上海市党委書記以来だという。
薄被告は昨年の失脚以来、初めて公の場に姿を現した。法院は中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」で裁判の進行状況や法定内の写真を公開する異例の措置を取り、裁判の公正性と透明性を世界にアピールしようとしている。法廷の薄被告は白いワイシャツ姿でやつれた表情だ。22日に開かれた初公判で被告は起訴内容を一部否認し、争う姿勢を見せた。
■妻は殺人罪で有罪判決
朝日新聞デジタルは起訴状の内容を以下のように伝えている。
検察が読み上げた起訴状によると、薄元書記は大連市長だった1999年から商務相時代の2006年にかけて職務を利用して他人に不正な便宜をはかり、00年から12年までに、妻の谷開来受刑者(殺人罪で執行猶予付き死刑判決)や息子を通じて業者などから2179万元(約3億5千万円)相当の賄賂を受け取った、とされた。
(朝日新聞デジタル 「薄元書記初公判 失脚後初の公の場、一部収賄を否認」 2013/08/22 13:37)
フィナンシャル・タイムズなどによると、薄被告には無期懲役の判決が予想されるが、量刑が最も重い場合は死刑の可能性もあるという。