極彩色壁画の発見から30年を迎える奈良県明日香村のキトラ古墳(7世紀末~8世紀初)で、文化庁は8月17日、史跡整備のため入り口付近の埋め戻しが決まっている石室を地元の明日香村の住民に公開した。産経新聞が伝えた。
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文化庁は04~10年に壁画すべてのはぎ取りを実施。今年度中に墳丘整備に伴って石室を埋め戻す予定で、今回が事実上最初で最後の公開になる。
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温度や湿度を管理した特別な保護施設内で、窓ガラス越しに石室の外観を見学。かつて四神図や天文図で装飾されていた内部も、過去の盗掘の際に開けられた穴から見えた。地元の脇本雅子さん(74)は「石の加工の仕方がとてもきれいで、古代にあれほどの技術があったなんて感慨深いです。また見られたらいいのに」と残念がった。
また、15日には、キトラ古墳石室が18日から初めて一般公開される前に報道各社に公開された。朝日新聞デジタルが伝えた。
記者は、カビを持ち込まないように防護服にマスク、ビニール手袋を着けた。各社5分間の持ち時間で、石室(奥行き約2・4メートル、幅約1・04メートル、高さ約1・24メートル)の南壁の盗掘の穴から1畳ほどの内部をのぞいた。
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報道公開は、カビなどによる劣化を防ぐため「青竜(せいりゅう)」「白虎(びゃっこ)」など四神壁画のはぎ取りが終わった後の2009年3月以来。この時にはまだ残っていた、壁画のないしっくいの余白部分もすべてはぎ取られ、大部分で凝灰岩の壁石がむき出しになっていた。
石室の公開は、最初で最後となる見込み。キトラ古墳の石室は、18日から今月25日まで、事前に申し込んだ一般の人たちに公開される。
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