2010年度から実施されている高校の授業料無料化の政策について、世帯年収900万以上の世帯を無料対象外とし、その分、中間以下の所得者層に上積みする案を検討していることが明らかになった。2015年度からの実施を目指す。
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格差の解消を目的としており、これまで公立、私立に関係なく同額が支払われていたが、この案が実現すると、低所得者層かつ私立高校の場合、支援金の上積みと新設の給付型奨学金により実質的に私立高校も無料になる。
私立高校生を抱える世帯年収250万円までの層への就学支援金(年23万7600円)を約6万~12万円上積みして29万7千~35万6400円に、250万~350万円の層への支援金(同17万8200円)を約6万円上積みして23万7600円とする。
250万円までの層には返済義務がない給付型奨学金も新設し、私立高校生に年14万円、公立高校生に年13万円を支給する。
これにより、250万円までの層では私立授業料の年間平均約38万円が実質的に無償化されるのに加えて、学用品など授業料以外の負担も軽減される。
(MSN産経ニュース「高校無償化で政府・与党 公・私立、格差解消へ」より 2013/08/15/06:56)
現行制度と改正された場合の支給額をグラフにした。支給額はいずれも最大の場合。
与党間では、上積みの対象となる上限所得や打ち切り対象となる高所得者層の定義で、意見が分かれている。
低中所得層支援の財源を捻出するため導入する所得制限の基準額を、自民党が想定する900万円に設定すると、600万円までの中所得層に支援金を増額できる。
だが、公明党は高校無償化の対象外となる世帯数を2割に抑えるため所得制限基準額を930万円とするように主張しており、この場合、支援金増額の対象は500万円までとなる。
(MSN産経ニュース「高校無償化で政府・与党 公・私立、格差解消へ」より 2013/08/15/06:56)
高校無償化は2010年、民主党政権がはじめたものだが、私立の場合は支援金のみでは無償にならないことが批判の対象になっていた。2010年の参院選時にはデモも起こっていた。
民主党政権の目玉の一つとして、今年4月に始まった「高校無償化」制度。全国平均で年間約12万円の全日制公立高校の授業料をすべて無料にする一方、私立の生徒にも同額の12万円を補助している。しかし、私立高校の授業料の全国平均は約32万円(2008年度)。低所得層では補助額が加算されて24万円まで認められることもあるが、なお届かない。「学校から授業料の督促状が来た」「友だちは弟も私立高校に入り、学費を工面するため自分が退学した」。家計が厳しくても、公立に落ちれば私立に行くしかない。他に選択肢がなかった生徒たちの訴えがビル街に響いた。
(朝日新聞デジタル「《現場から問う:9》高校無償 消えぬ格差 - 特集 - 2010参院選」より 2010/06/24)
高校無償化政策をめぐっては、朝鮮学校への適用をめぐって、デモが起こったこともあった。
朝鮮学校への高校無償化の適用を求める集会が3月31日、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂であった。全国から集まった生徒や保護者、学校関係者らが「朝鮮学校のみ除外するのは差別だ」と主張。終了後に横断幕やプラカードを掲げ、デモ行進をした。
(朝日新聞デジタル「:「朝鮮学校除外は差別」 高校無償化適用求めデモ」より 2013/03/31 20:40)
※私立高校への対応や、所得上限の設定、朝鮮学校への適応など高校無償化政策については多くの論点があります。みなさんはどう思いますか。ご意見をお聞かせください。