9月2日に取り壊しが始まる小学館ビル(東京都千代田区)に、漫画家25人による豪華な落書きが出現した。浦沢直樹さんや藤子不二雄Aさんら小学館にゆかりのある漫画家25人がロビーの壁や窓に描いたもの。中には入れないものの、多数の漫画ファンがビルの前に訪れて窓越しに熱心に撮影していた。(※続報:8月24日と25日の一般公開が決定)
小学館によると、何人もの人気漫画家を輩出した木造アパート「トキワ荘」が取り壊される際に、かつて住んでいた漫画家たちが集まって落書きをしたことがヒントになったという。「週刊ビッグコミックスピリッツ」編集部の山内菜緒子さんが呼び掛けたところ賛同の輪が広がった。
8月9日の落書き大会に参加した漫画家は、藤子不二雄Aさん、浦沢直樹さん、島本和彦さん、ゆうきまさみさん、吉崎観音さん、黒丸さん、松田奈緒子さん、高田サンコさん、白雪バンビさん、杉木ヤスコさん、西村ツチカさん、ピョコタンさん、みづほ梨乃さん、あさだみほさん、和央明さん、加藤みのりさん、コージィ城倉さん、月子さん、ながてゆかさん、千葉コズエさん、溝口京子さん、柏ぽちさん、高橋聖一さん、水口尚樹さん、高橋伸輔さんの25人。
浦沢直樹さんが『YAWARA!』や『20世紀少年』のキャラクターを描いたほか、藤子不二雄A氏が『笑ゥせぇるすまん』や『オバケのQ太郎』。ゆうきまさみさんが『究極超人あ~る』。吉崎観音さんが『ケロロ軍曹』など、名だたる漫画家が自分の代表作のキャラクターを思い出深く描いていた。
地上9階、地下3階の小学館ビルは「週刊少年サンデー」創刊から8年後の1967年に完成。当時、藤子不二雄(※)の漫画『オバケのQ太郎』の大ヒットによりビルが建ったという噂があり、「オバQビル」とも呼ばれていた。今回、東日本大震災後の耐震強度の見直しにより建て替えが決まったという。
窓からのぞいていた都内に住む30代の男性会社員は「昼のニュース番組を見て一目見なくてはとかけつけた。これだけの漫画家の絵が見られるとは」と感激した様子だった。
※藤子不二雄は、『ドラえもん』の代表作で知られる藤子・F・不二雄さん(故人)と藤子不二雄Aさんの合作ペンネーム。1987年にコンビを解消している。