電気自動車ベンチャー、テスラモーターズの創業者イーロン・マスク氏が、時速約1290キロ、ロサンゼルス・サンフランシスコ間を30分で結ぶチューブ型の高速鉄道の計画を発表した。
マスク氏によると、ハイパーループの建設費用は総額60億ドル(約5830億円)未満で、年間で片道740万人の輸送が可能。建設事業は完成までに7─10年かかる見通しだという。
57ページに上る設計計画によると、太陽光発電を採用する同システムは、各カプセルに最大乗客28人を乗せ、低圧の鋼管を通じて最大時速800マイル(約1290キロ)で輸送する。距離約400マイルのロサンゼルス─サンフランシスコ間を輸送カプセルが30秒毎に発車する計画だという。
(Reuters「LA・サンフランシスコを30分で、米富豪が新輸送システム提案」より 2013/08/13 14:09)
この発表、面白いのはマスク氏自らが事業化する前提では必ずしもないこと。本職のテスラと宇宙事業で多忙なため、計画を無償で公開し、試作機を他社に作って欲しいと考えているようだ。
しかし、実現までの道のりは長い。最初のステップはデモ用試作機だ。そして、Musk氏は、時速760マイル(約1220km)の磁気浮上交通システム実現までの道のりを単独で進みたくない、と断固主張している。「ほかの誰かが立候補してデモを行ってくれたら本当にありがたい。誰かにそうしてほしい」(同氏)
もし誰も名乗りを上げなければ、自分でデモ用試作機を作るつもりだが、SpaceXとTeslaでの職務を考えると、それには3~4年以上必要だ、とMusk氏は述べた。もしHyperloopだけに注力するのなら1~2年もあれば十分だという。
(CNET Japan「テスラCEOのE・マスク氏、「Hyperloop」を発表--時速約1220kmの新輸送システム」より 2013/08/13 11:34)
この計画はカリフォルニアの高速鉄道計画の代案として出されたものだ。マスク氏の計画書通りに行くと仮定すると、はるかにコストが安く済むという。しかし、課題も多い。
ただ、特にカリフォルニア州政府がこの巨大事業を承認するかどうか、また事業に参加して実際の建設にあたる意思を持った民間企業がいるかどうか、という大きな疑問が残っている。設計は理論上の域を出ておらず、実地試験は行われていない。
(Reuters「LA・サンフランシスコを30分で、米富豪が新輸送システム提案」より 2013/08/13 14:09)
マスク氏は南アフリカ出身の起業家。電子決済のPayPalの前進、X.comや、ロケット製造開発のスペースX、太陽光発電のソーラーシティを設立している。