福島第1原発の汚染水、1日300トンが海に流出=資源エネルギー庁
[東京 7日 ロイター] - 資源エネルギー庁幹部は7日午後、東京電力
同日開催された、政府の「原子力災害対策本部会議」後の記者説明で資源エネルギー庁原子力発電所事故収束対応室の新川達也室長が明らかにした。本部長の安倍晋三首相は会議の締めくくりで、「福島第1原発の汚染水問題は対応すべき喫緊の課題。東電のみに任せるのではなく国として対策を講じる必要がある」と述べ、懸念を表明した。
<海洋への大きな汚染は認められず>
エネ庁の説明資料によると、福島第1原発1─4号機には、1日約1000トンの地下水流入があり、このうち約400トンが建屋に流入。残りの約600トンの一部が、放射能の汚染源に触れて海に放出されている状況だという。
現場では海側に近い3カ所の周辺に井戸を掘り、地下水の状況を観測しているが、新川室長によると、「それぞれの観測孔周辺で地下水が汚染源に触れて汚染水として海洋流出していると仮定を置いている」と説明した。海への影響については、「港湾口、海洋については今のところ大きな汚染は認められていない」(新川氏)としている。
東京電力関係者は夕方の記者会見で「汚染水が海に流れ出ている可能性については否定していない」としながらも、1日300トンの汚染水流出という試算については「中身を承知していない。まだ、説明できる数字を持っていない」と述べた。
東電と政府は、当面の緊急対策と今後1、2年を要する抜本対策を実施して、汚染水の海洋流出を食い止める考えだ。抜本対策の1つとして、土を凍らせて1─4号機を囲う壁(凍土壁)を作り、2015年7月までの完成を目指す。世界でも前例のない工事となる。
緊急対策としては、1)8月中旬から配管、電線を通す地下のトレンチにたまっている高濃度汚染水の除去開始、2)海岸近くの汚染エリアを特殊な薬液を注入して遮水壁を作る地盤改良、3)アスファルトなどで地表を舗装し、雨水を地下に染み込ませない、4)地下水の汲み上げを今週中に開始、5)山側から敷地内に流入する地下水を汚染する前に汲み上げて海に流す(地下水パイパス)──ことを実施する。
<海への流出ゼロ、時期示せない状況>
政府はこれらの対策で汚染水の海への流出を防ぎたい考えだが、エネ庁の担当者によると海への流出ゼロを実現する具体的な時期を示せる状況ではないという。
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