南米アルゼンチンのフェルナンデス大統領は8月6日、国連安全保障理事会で演説し、イギリスと対立するフォークランド(アルゼンチン名・マルビナス)諸島の領有権問題について国連が仲介すべきだと訴えた。時事通信が伝えた。
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フェルナンデス大統領は、国連は1964年、両国に領有権問題の協議を促したが、イギリスは拒否したと主張。二国間の協議はこう着しているとして、「国連は二国間の交渉を仲介し、(この問題を)議論すべきだ」と述べた。
フェルナンデス大統領は3月18日にも、アルゼンチン出身のローマ教皇フランシスコと会談し、フォークランド諸島の問題で両国の仲介をするよう要請している。この際、大統領は「南大西洋における英国の軍事化が引き起こしかねない問題を回避するため」、教皇に支援を期待すると述べた。
バチカンの広報担当は、フェルナンデス大統領の発言にコメントしなかったが、教皇を政治紛争に巻き込もうとする動きについてバチカン側が快く受け止めていない可能性もある。中道左派系のフェルナンデス大統領は、直近までブエノスアイレス大司教として同性婚反対など保守的な立場を貫いていた教皇と関係が良くなかった。
南米アルゼンチン沖の南大西洋上にある英国領の約200の島(アルゼンチン名:マルビナス諸島)。スペインから独立したアルゼンチンが1820年にスペイン領だった同諸島の領有権を主張したが、33年からイギリスが実効支配を続けており、住民の多くはイギリス系である。
アルゼンチンの軍事独裁政権が1982年4月2日、フォークランド(マルビナス)諸島の領有権を主張し、軍を派遣、侵攻した。経済危機で募る国民の不満をそらす目的だった。サッチャー英首相(当時)は奪還のためイギリス軍を派遣。アルゼンチン降伏までの74日間で両軍合わせて900人以上が戦死した。敗戦が引き金となり、アルゼンチンでは軍政が崩壊した。
近海に油田があるとされ、領土問題の一因となっており、2013年現在もアルゼンチンが領有権を主張している。
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